アスリートがとるべきレース当日の行動

高輪で鍼灸治療院を開いている今野です。

自身が元競泳選手ということもあり、アスリート専門の治療院となっております。

一般的な治療院との違いは、痛みを治すことや硬い部位を緩めるだけではなく、「特定の部位に力が入っていない」ことや「可動域が狭い」あるいは「自覚していない骨格の歪みや筋力不足」などを改善してパフォーマンスアップに繋げることをゴールにしている点です。

今野鍼灸治療院では治療のその先を常にイメージしながら、アスリートの自己実現をサポートしていきます。

レース当日にとるべき行動はそのままレース内容に直結します。

幼少時からスポーツをなにか習っていればある程度知っているかもしれませんが、社会人から始めた場合は知らないままであったり、なんとなくでその日の行動を決めている場合もあるようです。

そこで今回はレース当日にとるべき行動について

  • 起床時刻
  • 朝食
  • ウォーミングアップ
  • ウォーミングアップからレースの間
  • レース終了直後
  • レース当日の水分補給
  • 全レース終了後の当日の過ごし方

に分け、詳しく解説していきます。

(ここでは便宜上レースと書いてますが、スポーツ競技の試合や大会、ダンスの発表会などの本番を全てまとめて「レース」と表しています)

尚、この記事では管理栄養士の監修の元書いております。

起床時刻

理想的な起床時刻はレースが始まる4~5時間前です。
そうでなければ身体がしっかりと起きてくれませんので、レースで身体が動いてくれず、求めているような結果が出ません。

2020年の日本トライアスロン選手権では女子のレースが先で、開始時刻は朝の8時でした。

その4時間前だと明け方の4時になってしまいますので、こういった早い時刻に始まる場合は注意が必要です。

もし前日に早めに寝られるなら寝て、明け方4時に起きるのが理想です。
(試合日の起床時刻が著しく普段と異なる場合は、数日前から試合日の起床時刻と同じ時刻に起きるようにしましょう)

日本選手権のように前日のインタビューやレース説明会などがある場合、必ずしも早めに寝られるとは限りません。
その場合はどんなに遅くても3時間前の朝5時までに起きて、いち早くウォーミングアップを開始しましょう。

午後や夕方にレースがあるような場合は遅くてもレースの4~5時間前、もしくはいつもと同じ時刻に起きましょう。

時間に余裕があるからと言っていつまでも寝ているのは良いことではありません。

リズムが狂うのを身体は嫌がりますので、睡眠時間と起床時刻はなるべくいつもと同じにして、余裕をもって行動しましょう。

朝食

午前中にレースがある場合はレースの3時間前までに朝食を摂り終えましょう。

食事内容は糖質を中心に、消化に良いものを選んでください。
肉や脂の多い食材は避け、ビタミン類も摂りたいのでフルーツも大事です。

スケジュール的にタイトな場合は満腹にならないよう量に気をつけてください。
ただし時間がないからと言って何も食べないというのも厳禁です。

カフェインは持久系のパフォーマンスアップに繋がることがわかっているので、コーヒー等を飲むアスリートも多いとは思いますが、レース会場によってはトイレの数や待機場所からの距離など、不便な場合も考えられるので、飲みすぎないよう注意が必要です。

ウォーミングアップ

レースの2時間前までには済ませましょう。

スケジュール的にタイトな場合は出来るだけ1時間前には終わらせておくといいです。

ウォーミングアップの内容に関しては個人種目・チーム種目、短距離・長距離で内容は全く異なってきます。
試行錯誤をして理想的なウォーミングアップを見つけてください。

ウォーミングアップについての詳しい説明は別の記事にしてありますので、そちらもご参考になさってください。
短距離スイマーとしての具体的なウォーミングアップ例も書いてあります。

アスリートに求められる最高のウォーミングアップ
https://konno-chiryo.com/warming-up/

ウォーミングアップからレースまでの間

ウォーミングアップが完了し、着替えたら身体を冷やさないようにしましょう。

目安としては手が冷たくならない程度か、少しだけ汗ばむくらいです。

ただこれは個人差がありますので、大して寒くないのに手だけは冷たい方や、暖かくしていても少しも汗をかかない方もいらっしゃるので、あくまでも参考としての目安です。

手だけが冷えて気になるようでしたら手袋をしましょう。

一箇所に座ってジッとしているとせっかく暖めた身体がどんどん冷えてかたまっていきますので、なるべく定期的に動くようにしましょう。
少しだけ歩いたり、手足をプラプラ動かしたり回したり、という程度です。

ストレッチをしても構いませんが、強すぎない程度にしましょう。軽く、「伸びているのかどうかわからない」程度に留めてください。
あまりにも強いストレッチをレース直前に行うと力がむしろ入りにくくなってしまいます。

あとは精神的に集中する時間を数分間設けましょう。
目を閉じてレースを頭の中で一度行っておくと、メンタル的なウォーミングアップにもなります。

スプリント系のレースであれば直前にアミノ酸(BCAA)を摂ることも大事です。

レース終了直後

レースが終わったらいち早くクールダウンを行います。
陸上の競技であれば汗を拭きながら、上になにか羽織って身体が冷えないようしましょう。

まだその後にもレースがある場合は栄養補給を行い、空腹感が強い場合はなにか食べてください。

目安としては、レースまでどれくらい時間があるのか、どれくらい空腹感が強いのかです。
レース中は胃に内容物がない状態が理想なので、3時間以上あって空腹感があるようでしたら糖質を中心に消化の良いものを選んで軽食を摂りましょう。
30分以上あって空腹感が強いならゼリー状のものをお勧めします。

アミノ酸(BCAA)もなるべく早く摂りましょう。

レース当日の水分補給のポイント

レース当日の水分補給としては以下のようにポイントを抑えてください。

起床時

起床時には、コップ一杯の水。常温水か白湯が理想です。

食事の際

食事の際カフェインの入っているコーヒーやお茶・紅茶は利尿作用があるので、飲んだ以上に水分を失ってしまう可能性もあるので注意が必要です。
カフェインを摂った場合は少量の水を同時に飲んでおきましょう。

その他のタイミング

その他のタイミングでは基本的には喉が渇かないように常にウォーターボトルを持参してください。

中身は水か糖質が含まれるスポーツドリンクにしましょう。
理想はボトルふたつにして両方ですが、荷物が重くなるとその分疲労にも繋がりますので、そこは移動手段やご自身の荷物量、レース会場や道中で買えるのかどうかなどを考慮しながら決めてください。

スポーツドリンクの糖質に関しては6%程度がお薦めです。
それ以上になると怠さに繋がりますので、注意が必要です。

全レース終了後の当日の過ごし方

その日の全てのレースが終わったら夕食を摂り、湯船に浸かってなるべく早く寝ましょう。

関節や筋肉に炎症があるように感じる場合は(触って明らかに熱いなら)、アイシングも重要になってきます。
最長20分間のアイシングをし、最低60分間は間を空けてから再度確認し、熱さが取り切れていないなら取り切れるまで繰り返します。

疲労度が強い場合は入浴後に、ゆっくり時間をかけてストレッチをしましょう。
ただし、痛みを強く感じるほどのストレッチは厳禁です。

ストレッチに関してはこちらを参考にお願い致します。

ストレッチの間違った認識と正しいストレッチを行う上でのポイント
https://konno-chiryo.com/stretch-point/

夕食の食事内容としては、バランスの取れた食事がベストです。

肉類の摂り過ぎには注意をしてください。
レース後は内臓も疲れています。
その状態で消化に負担のかかる肉類を多く食べると回復力が落ちてしまいます。

アルコールは飲まないのがベスト、一口程度がベター、グラス一杯がギリギリ許容範囲と思ってください。

アスリートにとってのアルコールについての記事も書いてますので、参考にしてみてください。

アルコールがアスリートに及ぼすダメージとその対策
https://konno-chiryo.com/alcohol/

アミノ酸を普段から飲んでいるようであれば、もちろんそれも飲んでください。

レースの時間や強度にもよりますが、内臓疲労や肝臓内のグリコーゲンの枯渇というのは翌日でも続いています。
よって翌日も糖質を多めに摂りましょう。

レース時間からの逆算

以上がレース当日にとるべき理想的な行動になります。

レースがその日1本なのか複数本なのかで若干内容は変わってきます。

最も大事なのは「レース時間から逆算して今なにをすべきか」です。

普段のトレーニングを頑張っているのは本番のためなので、その頑張りを無駄にしないためにもレース当日の行動も質を上げて最高のパフォーマンスに繋がるようにしましょう。

著者プロフィール

今野 弘章
今野 弘章
自身の元競泳選手の経験や、「アスリートは体の痛いところを治せば良いわけではない」という考えから、

競技中(日常生活)の痛みの改善
「この部位に力を入れられない」といった身体の悩みの改善
通常時、痛み時のトレーニング
日頃のメンテナンス

など、より良いパフォーマンスにつなげるための、治療、指導を行っております。

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