アスリートにとっての整形外科、整骨院、接骨院、治療院の使い分け

高輪で鍼灸治療院を開いている今野です。

自身が元競泳選手ということもあり、アスリート専門の治療院となっております。

一般的な治療院との違いは、痛みを治すことや硬い部位を緩めるだけではなく、「特定の部位に力が入っていない」ことや「可動域が狭い」あるいは「自覚していない骨格の歪みや筋力不足」などを改善してパフォーマンスアップに繋げることをゴールにしている点です。

今野鍼灸治療院では治療のその先を常にイメージしながら、アスリートの自己実現をサポートしていきます。

一歩街に出れば整形外科、整骨院、接骨院、整体院など、似たような名前の医療機関をよく見かけると思います。

患者様からも「違いってなに?」と聞かれることも多いです。そこで今回はそれぞれの役割、特色、特にアスリートにとっての使い分け方法について詳しく解説をしていきます。

尚、整体院の中身は国家資格である理学療法士の有資格者(厳密に言うとそれを利用しての整体院ではありません。
理学療法士の資格上、業務は医師の指示のもとでのみ行うことができます)、民間の有資格者、無資格者と多岐に渡り、整体院という一言でまとめられないので今回は除外します。

各医療機関の分類

まず各医療機関はこのように分類されます。

各医療機関における、通院すべき症状と注意点

整形外科

整形外科医とは、医学部6年間を修了し、医師国家試験に合格して医師免許を持っています。

レントゲン、CT、MRI等の画像検査を使っての診断のプロになります(総合病院ではなく、整形外科医院ではその院の規模によりレントゲンしか置いてない院もあります)。

通院すべき症状

  • 転んだり自転車から落車してどこかをぶつけ、その後も痛む
  • 走っていて足首を強く捻った
  • 安静時(身体を動かしていない時)でも痛む
  • 痺れがある

上記のような場合には、画像診断を受けて身体の中で何が起きているのか正確に把握する必要があります。

注意点

ギックリ腰や寝違え、重度の筋肉痛などの筋肉的な痛みに対しては、異常が無ければ特に治療というのはなく、湿布薬を処方されるのみです。
また、筋肉を使い過ぎたことによる症状、例えばテニス肘やゴルフ肘、野球肩や水泳肩なども同様です。

関節に炎症がある場合はトレーニングを休むか質を落とすよう言われます。
それ以上に症状が重く、腱や靭帯に損傷があると手術の適用レベルになる可能性があります。

整形外科で治療を受けられなかった場合は整骨院や治療院で施術をしてくれますので、そちらに行くことをおすすめします。

また、首や腰の牽引は必ずしも全ての症状を改善するわけではないことがわかっています。
治療を何回か受けてみて症状が改善しない場合は、治療を断る勇気も必要なのかもしれません。
(牽引についての参考サイト→https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/32/4/32_KJ00003799841/_pdf/-char/ja

整骨院、接骨院

柔道整復師という国家資格を有しており、専門学校では3年間、大学では4年間のどちらかを修了しています。

整骨院や接骨院では最低でも1人の柔道整復師がいなくてはなりません。(逆を言えば全員が柔道整復師とは限りません)

通院すべき症状

  • ギックリ腰や寝違えのような強い痛み
  • 捻挫、肉離れ
  • 関節の痛み

多くの整骨院では超音波治療機を置いているので、捻挫や肉離れのような筋肉組織に損傷がある場合は超音波治療機を使うと症状の改善が早まることが多いです。

治療院

ここでは国家資格を持っている治療院として解説します。

柔道整復師を持っているけど保険診療は行わず、全て自費で施術をする整骨院も増えてきました。

鍼灸師、マッサージ師は専門学校では3年間、大学では4年間のどちらかを修了しています。

アメリカのカイロプラティックの資格はアメリカでは医師免許と同類になります。それを日本に持ち帰り、開業している施術者もいます。
その場合は日本のカイロプラティックの資格とはかなり異なるので、同じと考えないようにしましょう。日本のカイロプラクティックは民間の資格になり、養成機関の期間は2年間のところが多いです。

通院すべき症状

肉体的、精神的、体質的な症状全般

アスリートとしては日々の筋疲労、関節の痛み、内臓の負担などが特に当てはまります。

僕個人の意見としては、治療院が対応できる症状は整骨院と比べるとかなり幅が広いと感じています。

施術時間が長いこともそうですし、鍼灸を使った治療というのはやはり徒手療法(手だけで施術する方法)では出来ない分野です。

注意点

保険を使わない分、施術費用が高くなります。

未成年者の場合は初回だけでも保護者と一緒に説明を受け、施術の必要性を保護者も一緒に理解するようにしましょう。

鍼灸治療は好き嫌いがかなりはっきりと分かれます。

それぞれの得意分野を理解して使い分けること

以上が各医療機関の違いで、その時々、症状で使い分けが必要になってきます。

全てが整骨院で治るわけではありませんし、整形外科で治る症状もあれば、鍼灸でしか治らなかった、という症状もあり得ます。

それぞれの得意分野をしっかりと理解し、今の自分に必要な医療機関に通院するようにしましょう。

激しいトレーニングをするアスリートほど、セルフケアではカバーしきれない事がほとんどです。自分が信頼できる施術者を見つけ、通院しながらトレーニングを積んで高い目標にたどり着いてください。

著者プロフィール

今野 弘章
今野 弘章
自身の元競泳選手の経験や、「アスリートは体の痛いところを治せば良いわけではない」という考えから、

競技中(日常生活)の痛みの改善
「この部位に力を入れられない」といった身体の悩みの改善
通常時、痛み時のトレーニング
日頃のメンテナンス

など、より良いパフォーマンスにつなげるための、治療、指導を行っております。

関連記事

  1. 鍼灸に関するQ&A

  2. 患者も把握しておくべき鍼治療による気胸のリスク

  3. アスリートにおける鍼灸治療の効果

  4. 施術者からみた定期的にケアを受けて欲しい理由

  5. 手術痕に対する鍼の効果

  6. アスリートのリラクゼーション店との付き合い方