アクティブレストとは?実施にあたっての注意点

高輪で鍼灸治療院を開いている今野です。

自身が元競泳選手ということもあり、アスリート専門の治療院となっております。

一般的な治療院との違いは、痛みを治すことや硬い部位を緩めるだけではなく、「特定の部位に力が入っていない」ことや「可動域が狭い」あるいは「自覚していない骨格の歪みや筋力不足」などを改善してパフォーマンスアップに繋げることをゴールにしている点です。

今野鍼灸治療院では治療のその先を常にイメージしながら、アスリートの自己実現をサポートしていきます。

レベルの高いアスリートほどアクティブレストというのは聞いたことがあることと思いますし、実践しているアスリートも多いと思います。

当院に来院されるアスリートの方々の中にもアクティブレストを取り入れている患者さまは多いのですが、その一部の患者さまはアクティブレストを間違って理解し実践されている方々がいらっしゃいましたので、今回はアクティブレストについて詳しく解説していきます。

アクティブレストについて

アクティブレストは日本語に直訳すると「積極的休養」ということになります。

具体的には30~60分ほど、低強度で何かしらの有酸素運動を行い、血液循環を良くして筋肉内の疲労物質をうまく流してあげることを目的とします。
低強度というのは具体的には誰かと喋りながら動き続けてもずっとそのレベルを保てるくらいの強度になります。
通常はオフの日や、オフの前日にトレーニングの一部として行います。
いつ、どのくらい、どのようなことをアクティブレストとして行うのかは年齢、種目、トレーニングスケジュールや試合・レースのスケジュールによって異なってきます。

アクティブレストの反対はパッシブレストといい、消極的休養、つまり安静にしたり睡眠をとったりすることを指します。

アクティブレストについての研究はまだまだひとつの答えを出せるほどではなく、コーチ、研究者、選手など、それぞれの立場で色々な意見が出ているというのが現状です。

気をつけるべきポイント

アクティブレストの目的はあくまでも「回復」なので、アクティブレストを取り入れることで逆に疲れてしまっては意味がありません。
気をつけるべきポイントとしては以下が挙げられます。

なるべく普段のトレーニングとは違う種目を取り入れる

身体面

例えば陸上で行う競技であれば、プールに行くことをおすすめします。
水の中では重力がありませんので、筋肉を動かしているにも関わらず関節への負担をかなり減らせます。
もし泳ぐのが苦手であれば、水中ウォーキングで構いません。
ゆっくりと大きく歩きながら腕は平泳ぎのように水をかきましょう。

水泳選手や水球選手は陸上でのアクティブレストということになりますが、普段から重力のない水中でトレーニングをしていると、陸上という重力下の環境が「つらい」と感じる選手も多いので、例えばウォーキングでさえ逆効果になる場合もあります。
そういう選手は例えばカラオケのような座るか立って行える動作で、軽く汗をかくようななにかを探してみましょう。

メンタル面

オフの日に普段通っているプールやトラック、練習場に行くことがメンタルの面でプラスになるのかどうかを考えなくてはいけません。
中には例えば水泳選手の場合、「オフの日はプールを見たくもない」と思っている選手もいるかもしれません。
その場合は筋肉的にプラスであってもメンタル的にマイナスになり得ますので、自分の精神状態に合っているのかどうかを判断基準のひとつにしてください。

筋トレ要素は除外する

例えばボーリングのような運動では重いボールを投げるという動作が入るので、逆に筋肉が疲れてしまいます。
趣味や遊びとして行くなら良いのですが、アクティブレストとしてのボーリングは当てはまりません。

全てのアスリートにとってプラスになるとは限らない

冒頭でお伝えしましたが、アクティブレストはまだまだ研究段階です。
「絶対に全てのアスリートが行うべき」と断言できる段階ではありません。

例えば「周りがやっているから自分もやっている」という方がいらっしゃるなら、アクティブレストを取り入れたオフの日と取り入れていないオフの日、その翌日の疲労回復具合をしっかりと比べてみてから判断してください。

疲労度が強すぎる場合

低強度でさえやりたくないほど疲労が溜まっている場合は、アクティブレストをすることが必ずしもプラスになるわけではありません。
それでも「動かないと固まるから」といった理由でアクティブレストを行なっている方もいらっしゃいますが、疲労度が強すぎるけど身体が固まるのが嫌なのであればお風呂やサウナに入る、しかも一日の中で複数回、そして身体が暖まっているうちにストレッチ、というアクティブレストではない手段も取り入れるようにしましょう。

疲労度がとても強い中でのアクティブレストは怪我にも繋がりかねない事を理解してください。
また、それくらい疲労が溜まっている状態なのであれば1日目はアクティブレスト以外の回復方法を選択し、2日目にアクティブレストを入れるのをおすすめします。

チーム全体として行う場合

今の段階で僕が個人的に考えるのは「オフの日においてはチーム全体でアクティブレストを行うより個々人が必要に応じて行う」というほうがベターだということです。
理由は、人それぞれ体力が異なりますので、アクティブレストが必ずしもプラスに働くかどうかがわからない中で「チームとして行う」というある種の強制力を働かせてしまうと、アスリートによってはマイナス効果になってしまう可能性もあるからです。
「自分からやる」と決めてアクティブレストを取り入れているケースと異なり、人は誰でも「やらされている」と感じてしまうとネガティブな反応・効果になります。

チーム全体で行う場合はトレーニングスケジュールを考慮しつつ、オフの前日などにトレーニング内容を少し削り、余った時間で「遊ぶ」ことを個人的にはおすすめします。
鬼ごっこやケイドロ、缶けりなど、走る要素のある遊びを大人になってから本気で遊ぶと子供の頃とはまた違う楽しさがあります。
遊ぶことでリフレッシュにもなりますので、メンタル面でのレストにも繋がります。
また、コーチやマネージャー、トレーナーなど、普段は一緒にトレーニングをしないメンバーも一緒に行なったほうが楽しさも上がるかもしれません。
チームで話し合ったりして楽しい遊びを探してみてください。
ただ特に足首の捻挫など、怪我には気をつけましょう。

中高生の場合

個人的にはオフの日にアクティブレストは不要だと考えています。
ただでさえ中高生は普段から日常生活の時間を削ってトレーニングにあてています。
オフの日は勉強、友達や家族との時間にあてるほうがベターですし、成長期である中高生は寝ている時間での回復力が大人よりも高いので、まずはしっかりと寝ることが重要です。

ジョギング時の関節への負担

アクティブレストとして低強度のジョギングを行なっているランナーやトライアスリートがいらっしゃいます。
強度としては大したことがないと自覚されているかもしれませんが、低強度とはいえ足首や膝、股関節という関節への負担というのはゼロではありません。
それが関節の炎症にも繋がる可能性もありますので、やはり陸上で行うアクティブレストの場合はこういった面も考慮する必要があります。
不安がある方は陸上でのアクティブレストは避け、プールでのスイミングかウォーキング、もしくは他のオフの過ごし方を選択しましょう。

症状のある時

痛みや違和感がある時はアクティブレストではなく施術を受けて症状を改善してもらうようにしましょう。

自分で決めることが大事

以上がアクティブレストについてです。

まずアクティブレストを取り入れていない方は、注意点を含めてどういったことがアクティブレストなのかを理解することです。
そして順番に試し、アクティブレスト後や翌日の疲労の回復具合を確認し、自分に合うのかどうかを判断します。
何より重要なのは自分で決めて行うことです。

あくまでもレストでありオフの日の行動なので、「誰かにやらされている」ということではなく、身体を回復させるためにご自身でその方法を選択する、ということが大切です。
アクティブレストがご自身に合わないのであれば、仮に周りが継続していてもご自身はやらないようにしましょう。
また、アクティブレストで症状は改善しませんので、症状のある方は施術を受けて症状を改善することを優先しましょう。

著者プロフィール

今野 弘章
今野 弘章
自身の元競泳選手の経験や、「アスリートは体の痛いところを治せば良いわけではない」という考えから、

競技中(日常生活)の痛みの改善
「この部位に力を入れられない」といった身体の悩みの改善
通常時、痛み時のトレーニング
日頃のメンテナンス

など、より良いパフォーマンスにつなげるための、治療、指導を行っております。

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