膝痛(筋肉が硬くなることで生じる症状)の原因を細かく解説。筋肉、自律神経、内蔵など原因は複数。

高輪で鍼灸治療院を開いている今野です。

自身が元競泳選手ということもあり、アスリート専門の治療院となっております。

一般的な治療院との違いは、痛みを治すことや硬い部位を緩めるだけではなく、「特定の部位に力が入っていない」ことや「可動域が狭い」あるいは「自覚していない骨格の歪みや筋力不足」などを改善してパフォーマンスアップに繋げることをゴールにしている点です。

今野鍼灸治療院では治療のその先を常にイメージしながら、アスリートの自己実現をサポートしていきます。

マラソンランナーやトライアスリートなど、ランニング動作が入るアスリートにとって”膝痛”は誰しもが経験したことのある症状と言って良いほど多くみられます。

その原因の一つとして、「トレーニングにより筋肉を酷使し、筋肉が硬くなることで生じる症状」というのが考えられます。
しかし、この「筋肉が硬くなる」という症状に関しては、筋肉疲労だけではなく、自律神経の乱れ、内蔵機能の低下など様々な要因があります。

そのため、筋肉のみセルフケアを行っていても、なかなか症状は改善していかないこともあります。

そこで、今回は筋肉が硬くなる要因として挙げられる

  • 筋肉疲労
  • 自律神経の乱れ
  • 内蔵機能の低下

に関して膝痛の例を交えながら詳しく解説していきます。

前提:痛みが強い場合はまず整形外科へ

痛みが強くて少しもトレーニングを積むことが出来ない。安静時(身体を動かしていない時)でも痛む。
こういった場合はまずは整形外科に行って診察を受けましょう。
画像診断を元に、身体の内部で何が起きているのかを正確に把握しておくことはご自身としても、これから治療院に行く場合の施術者としても、情報としてあった方が安心材料になります。

筋肉が硬くなる原因

筋肉が硬くなる原因には主に以下3つが挙げられます。

  • 筋肉疲労
  • 自律神経の乱れ
  • 内臓の機能低下

ではひとつひとつ解説していきます。

筋肉疲労

単純にトレーニングによって筋肉を使い過ぎ、そのケアが足りなければ徐々に疲労が溜まり硬くなるのはイメージしやすいです。

また、筋肉疲労は

  • 症状に対する直接的な筋肉
    直接的な筋肉というのは、症状のある関節と隣り合っている筋肉を指します。
  • 症状に対する間接的な筋肉
    間接的な筋肉というのは、症状のある関節とは離れている位置にある筋肉を指します。

にも分けられます。

例えば膝を例にすると、膝関節と大腿四頭筋(前もも)は隣り合っているので、これは直接的な筋肉です。
一方で膝関節と腹直筋(腹筋)は隣り合っているわけではありませんので、これは間接的な筋肉です。

なぜ腹直筋が関係するかというと、同じ筋膜を通して大腿四頭筋の働きを制限することで膝に関与するからです。
つまり、膝が痛むからと言って膝に近い筋肉だけをケアすればいいというわけではない、ということです。

自律神経の乱れ

自律神経が乱れると腹直筋(いわゆる腹筋)が硬くなることが多いです。
これは

  1. 自律神経が乱れる
  2. 自律神経が支配している内臓の機能低下が起きる
  3. 内臓の血流が低下することで内臓が硬くなる
  4. 内臓と隣り合っている腹直筋にも疲労物質が伝播してしまう

という事で硬くなります。
前項で記載した通り、腹直筋が硬くなれば同じ筋膜に属している大腿四頭筋の動きを制限するので膝の症状に対する原因となってしまいます。

また、自律神経が乱れると体内の様々な機能が低下します。
その中で重要なのが血流と回復力です。
血流の低下が起きれば疲労物質を運搬する能力が落ちてしまい、トレーニングによって生じた疲労物質が筋繊維内に溜まりやすくなります。
また栄養を運搬したいのにそれも滞りがちになるために、様々な組織、内臓、筋肉等が栄養不足の状態に陥ります。

回復力とは、主に寝ている間の回復力です。
自律神経が乱れると本来持っている回復力が落ちてしまい、メンタル、内臓、筋肉が回復しにくくなります。
つまり心身の疲労が溜まっていき、「身体が重い」「動きにくい」「食欲がわかない」「疲れやすい」「寝ても疲れが取れない」ということに繋がります。

自律神経に関しては「自律神経の乱れからくる春の眠気に対する対処方法」という記事も書いていますので、そちらも併せて読んでみてください。
自律神経の乱れからくる春の眠気に対する対処方法

内臓の機能低下

内臓と筋肉は支配されている神経を共有していることも多いです。

例えば大腿四頭筋や縫工筋(どちらも前もも)を支配している神経はL1~3(腰椎の1~3番)から出ている神経となります。
そのL1~3から出ている神経が支配している内臓は、大腸、生殖器、腎臓です。

肉類を食べ過ぎたことで腸内環境が悪くなれば、その分大腸の疲労に繋がる場合もあります。
大腸の疲労からL1~3の神経叢(シンケイソウ:神経の元)を刺激し、神経を介して大腿四頭筋や縫工筋の緊張を高めることもありうるということです。
緊張が高まっていることを過緊張といい、動きが悪くなったり柔軟性を失っていたりします。

その状態でトレーニングをすれば当然普段の動きとは異なる動きをしてしまい、トレーニングの質が下がったり、疲労が溜まりやすくなったり、怪我に繋がりやすくなります。

原因はひとつだけとは限らない

  • 筋肉を酷使することで生じる筋肉の硬さ
  • 自律神経の乱れからくる全体的な身体の機能低下
  • 内臓の機能低下からくる筋肉の硬さ

このように、「筋肉が硬くなる事による痛み」と言ってもこれだけのパターンがあり、さらに細かく筋肉と臓器にわかれていくわけです。

本記事で取り上げたのは一部の筋肉や臓器であり、わかりやすいように膝の痛みとして前ももを挙げましたが、膝の前面が痛む原因として必ずしも前面の筋肉が関与しているわけではなく、後面の筋肉が関与していることも多々あります。
日々のトレーニングによる筋肉疲労はセルフケアをするのはとても重要ですが、痛みが出たらセルフケアだけではなく治療院へ行って施術を受けましょう。
その痛みの原因をご自身だけで特定するのは簡単ではないから、プロに頼んだほうが確実です。
筋肉的なアプローチで改善しきらない場合は内臓由来の原因も考えられますので、内臓へのアプローチもしてくれる治療院へ行きましょう。

施術している僕からすると、原因となるものはひとつではないことの方が多いです。
直接的な筋肉「だけ」ではなく、間接的な筋肉も関係しています。
筋肉「だけ」ではなく、内臓も原因になっていることが多く、ひとつの筋肉「だけ」ではなく、複数の筋肉が関係していることが多いです。
膝の痛みとして膝の周囲「だけ」を施術すればいいわけでもなく、全身を確認していく必要があります。
それをアスリート自身が見つけ出すのは至難の業なので、痛みが出たら迷わず治療院へ行ってください。

著者プロフィール

今野 弘章
今野 弘章
自身の元競泳選手の経験や、「アスリートは体の痛いところを治せば良いわけではない」という考えから、

競技中(日常生活)の痛みの改善
「この部位に力を入れられない」といった身体の悩みの改善
通常時、痛み時のトレーニング
日頃のメンテナンス

など、より良いパフォーマンスにつなげるための、治療、指導を行っております。

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