高輪で鍼灸治療院を開いている今野です。
自身が元競泳選手ということもあり、アスリート専門の治療院となっております。
一般的な治療院との違いは、痛みを治すことや硬い部位を緩めるだけではなく、「特定の部位に力が入っていない」ことや「可動域が狭い」あるいは「自覚していない骨格の歪みや筋力不足」などを改善してパフォーマンスアップに繋げることをゴールにしている点です。
今野鍼灸治療院では治療のその先を常にイメージしながら、アスリートの自己実現をサポートしていきます。
僕の患者さまでリラクゼーションに行ったら腰痛が悪化したという方がいらっしゃいます。
そこで今回はリラクゼーションのお店との付き合い方、アスリートがリラクゼーション店を利用する上での注意すべきことについて詳しく解説していきます。
目次
リラクゼーションとは?
詳しくない方から見たら、鍼灸院や整骨院も整体院やリラクゼーション店も同じに見えるかもしれませんが、内容はかなり異なります。
今回は、
- 資格
- 院・店の目的
の違いを記載いたします。
資格による違い
資格で分ける場合、以下のようになります。
- 鍼灸院:鍼師、灸師という国家資格
- 整骨院、接骨院:柔道整復師という国家資格
- 整体院:無資格者か、理学療法士という国家資格が多い
- リラクゼーション:無資格者か、上記の専門学校の学生
国家資格の取得のためには、鍼灸師、柔道整復師、理学療法士等の専門学校で3年間、もしくは大学なら4年間の勉強をした後に国家資格を受け、受かれば国家資格を取得することになります。
専門学校や大学では、解剖学や生理学を始めとする身体に関係することをかなり本格的に勉強し、その後にそれぞれの資格に特化した知識を身につけていきます。
それに対し無資格者というのは、専門学校で勉強するような専門的な勉強をしていない、勉強していても独学、もしくは知識的なことは何も知らない、という方々です。
中には専門学校に通いながら施術の経験を積みたくてバイトをしている方々もいらっしゃいますので、その場合は相応の知識を持っているかもしれません。
そのため、有資格者でリラクゼーション店で働いている人を僕の周りでは知りません。
ゼロではないのかもしれませんが、いても限りなく少ないと思われます。
院・店の目的による違い
そしてそれぞれの院・店の目的ですが、
- 鍼灸院、整骨院・接骨院、整体院:症状を改善する
- 整体院、リラクゼーション:リラックスする
- という風に分けられます。
※整体院はオーナーや院長の考え方でどちらに属しているかが決まるので、必ずしもどちらかだけに属しているわけではありません。
どの資格を施術者が保有しているかよりも、この目的が何よりも患者さま・お客さまにとっては重要になってきます。
よって、今ご自身が何を求めているのか、相手は何を提供するのか、ここをしっかりと理解しておかないといけません。
アスリートとしてのリラクゼーション店との付き合い方
アスリートも1人の人間です。
ストレスを感じる時に気持ちの良いマッサージを受けて癒やされたい時はあるかもしれません。
しかし、上記に記載したように、鍼灸院、整骨院・接骨院、整体院とリラクゼーションは大きく異なります。
アスリートにとってご自身の身体は最大の武器であり、宝です。
その身体にとってマイナス効果なことはひとつもやらない。プラス効果のものを取り入れる必要があります。
そこでリラクゼーションに行く時には、以下のポイントを考慮し、行くようにしましょう。
リラクゼーションとの付き合い方1:痛みがある時はNG
先述したように、リラクゼーションで施術をしている方々が身体について知識が豊富とは限りません。
痛みがある時というのは、身体からのサインであり、解剖学的・生理学的に考えて、検査・確認をし、原因を特定した上で施術をして痛みを改善していきます。
リラクゼーションではこういった考え方はなく(少なく)、「お客さまが求めている部位を重点的に施術をする」ことが仕事内容になります。
これは例えるならパンケーキを求めているのに中華レストランに入店したようなものです。
お互いの求めている内容と提供出来る内容が異なっています。
今までリラクゼーション店に通っていて、症状が改善することもあったかもしれません。
それは施術をすることで筋肉がある程度緩み、結果的に症状が緩和されたに過ぎません。
そのため、それ以上の痛みになってしまった時に行ってみたら今度は緩和されないという可能性もあるわけです。
それどころか痛みが悪化するという可能性も充分にあります。
症状が悪化する例えでいうと、運動をし過ぎて関節に軽い炎症が起きていて、それを痛みとして感じていたケースです。
ご自身はその痛む部位を施術してほしいと伝え、施術してもらう。
炎症が起きている部位を施術したらほとんどの場合は悪化します。
ご自身は
- 炎症が起きているかどうかわからない
- リラクゼーションでも症状は治ると信じている、行けば治るかもしれない、治ってほしいと願ってお店に行き、リクエストをする
それに対してお店側は
- お客さまのリクエストに応えたい
- できれば症状も治したいと思って施術をする
- 炎症が起きているか気づけない(知識がない、足りない)
そこには誰の悪意もないはずなのに、症状が悪化してしまう可能性があるということです。
気に入って通っていたリラクゼーション店なのに、実は要求している内容と提供している内容が合致していないことに気づかずリラクゼーション店に行き、その一回で嫌になってしまうというのは勿体ない話です。
どこかが痛いという時は症状を改善する目的で営業している鍼灸院、整骨院・接骨院、一部の整体院に行くようにしましょう。
リラクゼーションとの付き合い方2:精神的なリラックス目的にはオススメ。
リラクゼーションとはその言葉でもわかる通り、リラックス目的なので、精神的に疲れた時に癒やされに行くことをおすすめします。
ストレスを改善する手段として、マッサージというのは非常に有効な手立てです。
特に、好きな匂いを嗅ぎながら施術してもらうオイルマッサージもおすすめです。
以下は医学博士のストレスとマッサージに関するインタビューです。
ご参考に読んでみてください。
https://mitsuraku.jp/kiji/t-the-benefits-of-massage-for-stress-doctor-interview
人と人が触れ合うものなので、会話内容や声のトーンも含めてそこには相性というものがあるから誰でも良いというわけではありません。
ストレス対策としてマッサージを受けたいという方は是非色々なリラクゼーション店に行き、お気に入りのお店、お気に入りの施術者を探してみましょう。
リラクゼーションとの付き合い方3:症状がある場合には必ず伝える
アスリートは症状を抱えていることも多いので、リラクゼーションの施術によりその症状が悪化してしまうことも充分に考えられます。
症状がある部位、その周辺は施術をしないでほしい旨をしっかりと施術者に伝えましょう。
例えば腰部椎間板ヘルニアを患っている場合、うつ伏せになった状態で上から体重をかけて腰部のマッサージをしたら受けている最中も痛いはずですし、施術後にヘルニアの症状が悪化している可能性は高いです。
こういった場合は腰を上からマッサージするのはやめてオイルマッサージなどをリクエストしましょう。
リラクゼーションとの付き合い方4:痛い施術は絶対NG
最後に注意点がひとつあります。
これはリラクゼーションだけではなく、施術全てに当てはまることです。
「痛いマッサージは受けるのをやめよう」
詳しくは以前書いた記事がありますので、そちらも参考にお願い致します。
(https://konno-chiryo.com/tsuyoimassage/)
痛いマッサージは受けている間「施術されている感」が強いので効果が高いと感じているかもしれませんが、そういうわけではありません。
実は筋肉細胞を痛めつけているので、マイナス効果です。
また、筋肉細胞がその刺激に耐えようと反応してしまい、前よりも硬くなります。
メンタル面では、痛いと感じるのと気持ちいいと感じるのは全く違う感情です。
痛みを感じているということは、脳としてはストレスに分類します。
ストレス対策としてリラクゼーションに通っているのに、実はストレスを増やしていては意味がありません。
アスリートは日々のトレーニングで充分すぎるほど筋肉細胞・筋肉組織を痛めつけています。
それに加えて痛いマッサージを受けてさらに筋肉細胞・筋肉組織を壊し、しかもその後筋肉が硬くなってしまってはアスリートとして良いことはありません。
筋肉細胞を硬くさせないためにも、ストレスを増やさないためにも、痛いマッサージというのはすぐに受けるのをやめましょう。
使い分けが大事
リラクゼーションはあくまでもリラクゼーションです。
症状を改善するための施術ではありません。
ストレス対策としてリラックスしたい時はリラクゼーションも選択肢に入れ、症状がある時は治療目的の施術をしている院へ、という使い分けをし、ご自身の大切な身体を適切にケアしていきましょう。
著者プロフィール

-
自身の元競泳選手の経験や、「アスリートは体の痛いところを治せば良いわけではない」という考えから、
競技中(日常生活)の痛みの改善
「この部位に力を入れられない」といった身体の悩みの改善
通常時、痛み時のトレーニング
日頃のメンテナンス
など、より良いパフォーマンスにつなげるための、治療、指導を行っております。
対処法2024.09.25成長期におけるスポーツ貧血の原因とその対策
鍼灸2024.08.07鍼灸に関するQ&A
その他2024.07.24筋肉の痛みが発生するメカニズムと、治療院に行っても症状が改善しない原因
トレーニング2024.06.26なぜクロールのキックは必要なのか?キックの練習法とコツ