施術者からみた定期的にケアを受けて欲しい理由

高輪で鍼灸治療院を開いている今野です。

自身が元競泳選手ということもあり、アスリート専門の治療院となっております。

一般的な治療院との違いは、痛みを治すことや硬い部位を緩めるだけではなく、「特定の部位に力が入っていない」ことや「可動域が狭い」あるいは「自覚していない骨格の歪みや筋力不足」などを改善してパフォーマンスアップに繋げることをゴールにしている点です。

今野鍼灸治療院では治療のその先を常にイメージしながら、アスリートの自己実現をサポートしていきます。

当院に来院されるアスリートの大半が「普段は定期的にケアを受けていない、痛くなったけど我慢すれば大丈夫だったからトレーニングを継続してた、けど我慢できなくなったので来た」と仰って来院されます。
そして、我慢できないほど痛くなってしまった症状は改善するのにもそれなりの時間を要します。

しかし、私自身、アスリートとしてやってきた経験と、現在の施術者という立場から考えると、出来るだけ定期的に来ていただき、「怪我をしない」。「怪我をしても軽微な状況」で治療を行い、楽しくトレーニングを継続して欲しいと思っています。

そこで今回は、施術者の視点も含め、定期的にケアを受けてほしい理由をお伝えさせていただきます。

緊急時に急に治療を受けようと思っても受けられない場合もある

ご自身のお気に入り、信頼している院があっても、「今日これから行きたい」というのが院の予約上、通らない可能性もあります。
事情を話せば営業時間後に特別施術をしてくれる院もあると思いますが、それは不確かなのであてにすべきではありません。
すごくつらいのに信頼している施術者の施術を受けられないということほど悲しい事実はありません。
ある程度定期的に、事前に予約を入れておくことがやはり理想です。
トレーニングスケジュールやレーススケジュールとあわせて、症状が出てしまいそうな時期に予約を入れておくようにして欲しいです。

緊急時に受けられない場合には、新規で治療院を探す必要がある

緊急時に、「いつも行っている治療院で施術を受けられない」となると、その時点から新たに治療院を探す必要があります。

コンビニより多いと言われている整骨院業界なので、選択肢が多すぎて迷う方もいるかもしれません。
ホームページやグーグルマップで口コミを読んでも、大抵の院では良いことしか書かれていません。

そういった中、「口コミはよかったけど、自分はそんなによく思わなかった。」、もしくはその逆で「口コミはよくなかったけど、ご自身は凄く良かったと感じる」ということがあります。

それは、治療院の施術においては、

  • 施術者の得意分野
  • 施術内容との相性、好み

があるためです。

そのため、日頃から親身にしてくれている治療院と「完全に同じケアをしてもらう」というのは難しくなります。

施術者の得意分野

施術者はほとんどの場合「ある程度の得意分野」というのがあります。
例えば頭痛が得意(他の症状は平均的)な施術者のところに重度の腰痛で行くより、腰痛が得意な施術者のところに行ったほうが改善しやすい、ということもあります。
信頼のおける施術者を複数人見つけておいて、「この症状ではこっち、その症状ではそっち」という使い分けも理想的です。
その場合は大まかに筋肉と内臓のふたつに分けるといいです。
筋肉でいえば腰痛、膝痛、捻挫など。
内臓でいえば体質、ストレス、婦人科疾患、胃腸の不調、頭痛など。

施術内容との相性、好み

施術内容で言えば、鍼は痛いから嫌だ、信用していないという方は鍼灸院に行くべきではないかもしれません。
痛いくらいのマッサージが好きな方はサワサワ優しい系の施術に行っても満足感は低いかもしれません。
これは症状が改善する・しないの前に、ご自身の好みがあります。
例え症状が改善しても精神的な満足度としては低い、という残念な結果に繋がりかねません。
理想はご自身の好みの施術で症状が改善する、というのが一番です。

本当にその怪我が軽度がどうかは専門家にしかわからない

痛みの感じ方は個人差があります。
ご自身が感じている「大したことない痛み」は、実は世間一般からすると結構重症の度合いに入るかもしれません。
それは施術してみないとわかりません。

施術を受けてみたら実は重症だった、というケースでは一回では良くならなず、長期化してしまう可能性があることを理解しておく必要があります。

長期化してしまった身体

長期にわたって症状が継続しているケースの難しさは、筋肉が「その状態が通常」と思い込んでいるところにあります。

筋肉の硬さや長さ(短さ)というのは形状記憶合金と同じで、ある一定期間その状態が続いてしまうと、それが通常と思い込んでしまって、施術をしても割とすぐに戻ってしまうことが多々あります。
例えば、

  1. トライアスロンのバイクで落車をして打撲
  2. 打撲の痛みそのものは時間の経過と共に落ち着く
  3. けど打撲の衝撃に耐えたことで筋肉が一瞬で硬くなる(交通事故のむち打ちと同じです)
  4. その硬さが身体の歪みを作る
  5. 歪みによる症状は大したことないから放置する
  6. 時間の経過とともにその症状が悪化してきたり、長時間のトレーニングやレースの時だけつらくなる

ということが起きます。

年単位でそういった症状を抱えていると、改善しにくかったり、改善傾向にあるけど時間も施術回数も要する、ということが多いです。
よって、例え症状の度合いが低くても早めに施術を受けて客観的にご自身の身体になにが起きているのかをみてもらってそこから新たな症状が出ることを防ぐことが理想といえます。

実際に打撲をしたけどトレーニングやレースを継続したことで最終的には歩行困難になってしまった患者さまの実例を書いてますので、そちらも参考にしてみてください。

「怪我を抱えたままトレーニングの継続することによる影響」
https://konno-chiryo.com/injury-training/

歯磨きと一緒

以上が我慢せずに早めに施術を受けて欲しい理由になります。
まだ信頼できる施術者を見つけていない場合、我慢できなくなった痛みを抱えながら治療院を探すのはとても大変なので、そうなる前に見つけておくことがとても理想です。

虫歯予防のために毎日歯を磨くのに、ケアは受けないという方がとても多いです。
ほとんどの人は定期的に歯磨きをすると思いますが、それでもたまに虫歯になってしまって歯医者へ行って治療を受けます。
施術を受けないということは、虫歯になっても歯医者へ行かないということと同じです。
せっかく楽しく続けているスポーツなので、定期的にケアを受けて痛みがない状態、我慢することのない状態でスポーツを大いに楽しんで欲しいです。

著者プロフィール

今野 弘章
今野 弘章
自身の元競泳選手の経験や、「アスリートは体の痛いところを治せば良いわけではない」という考えから、

競技中(日常生活)の痛みの改善
「この部位に力を入れられない」といった身体の悩みの改善
通常時、痛み時のトレーニング
日頃のメンテナンス

など、より良いパフォーマンスにつなげるための、治療、指導を行っております。

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