成績を上げ怪我を減らす、理論的なコーチングの重要性

高輪で鍼灸治療院を開いている今野です。

自身が元競泳選手ということもあり、アスリート専門の治療院となっております。

一般的な治療院との違いは、痛みを治すことや硬い部位を緩めるだけではなく、「特定の部位に力が入っていない」ことや「可動域が狭い」あるいは「自覚していない骨格の歪みや筋力不足」などを改善してパフォーマンスアップに繋げることをゴールにしている点です。

今野鍼灸治療院では治療のその先を常にイメージしながら、アスリートの自己実現をサポートしていきます。

アスリートにとってコーチ(日常的に指導してくれる監督や指導者等も含めてここでは総称してコーチとして書きます)は必要不可欠な存在です。

来院して下さる方々に施術する兼ね合いで「この時はこの部分を意識してこうやって動いてください」とご説明差し上げると「それ、コーチに言われるけどよくわからなかったポイントです!こういうことだったんですね!」ということがよくあります。

そこで今回はコーチには大きく分けると感覚的なコーチングと理論的なコーチングにわかれるということと、理論的なコーチングを受けるべき理由について書いていきます。

幼少時や中学、高校の時に多い感覚的なコーチングの現状とそのリスク

  • 「手の位置はここ、腕はこうかく」
  • 「手がこのタイミングの時にキックをうつ」
  • 「もう少し内側・外側かいて」

小学生から高校生くらいまではスイミングスクールではこのような指導内容です。

端から見て理想とするフォームに近づけるような外見だけのコーチングで、具体的に身体のどこを使えばいいのかという説明はありません。
(例えば「キャッチからプルの時はここの広背筋に力を入れて」というような解剖学的な指導はないんです。)

フォームに関しては基礎的なことをみっちりと教わるというより、「泳ぎ込み」がベースとなっており、小学生の低学年でも一回の練習で1000~2000メートルは少なくとも泳いだりします。

その量的な泳ぎ込みをしている中で選手たちは徐々に感覚を養い、自然と上達していくことがほとんどです。

感覚的なコーチングになってしまう背景

選手の年齢が若ければ若いほど理論的・解剖学的な説明をしてもおそらく伝わりませんし、コーチ1人に対して選手は10~20人いるのが普通ですので、現実的に1人の選手につきっきりで細かく指導するというのは難しいものがあります。

年齢が高くなればなるほど具体的に、より細かいフォーム指導になっていきますが、それでも「泳ぎ込み」がベースのトレーニングの隙間時間に教えるので、とても充分に説明を受けているとは思えません。

女子選手は特に中学時代、男子選手は特に高校時代に成長期が重なるために、むしろそこで量を詰め込んで泳ぎ込みに泳ぎ込みを重ねる傾向にあります。

その時間を削ってまでフォームに多大な時間を費やすことはないのが現状です。

そういったスイマー時代を経て引退した後にコーチとなるわけですが、多くの場合はコーチングの為の研修期間があるわけではないので、特に最初は自分が教わってきたように教えることになります。

そのコーチの下で練習した子供たちの何人かが同じようにコーチになり、それが繰り返されるわけです。

(以上はあくまでも平均的な話であり、オリンピック選手を排出するような有名スイミングスクールでは小学生のうちからもっと違った指導内容の可能性は当然あります)

感覚的なコーチングのリスク

黒板に数字を書いたものを頭で理解する算数とは違って、スポーツというのはそもそも感覚的な世界なので、ある程度は感覚的な説明になっても仕方ありません。

しかしながら大人が指導を受ける際は、あまりにも感覚的な説明ばかりだと理解できないまま間違えて練習していることも多いように見受けられます。

僕の治療院に来院される方々のうち、大人になってから水泳やトライアスロンを本格的に始めた方々において「クロールの腕のかきは背中でかくということを理解できない、実践できない」 というケースが圧倒的に多いです。

ただ実際には、「理解できない」だけではなく、

  • 本来使うべき筋肉を使えていない
  • 意識し過ぎて動きが大きすぎる
  • その人の(今現在の)関節可動域に合った動きの幅を超えている

といったことが生まれ、それが特に肩の故障に繋がってしまいます。

その症状を抱えたまま現状を変えずにトレーニングを続ければ当然その症状は強まったり、関節の炎症に発展するリスクが上がります。

症状が次の段階へいつ強まるのか、どの程度まで強まるのか、ということは誰にもわかりません。
突然強まって、運動をやめなければいけないケースもあります。
痛みというのは身体が異常を抱えているサインですので、なるべく早く治療院に行って相談し、施術を受けるようにしましょう。

理論的なコーチングが必要な理由

一度炎症などの怪我をしてしまうと治すまでに相応の時間がかかってしまいます。

それを避けるためには理論的・解剖学的に「この動きではこの筋肉を意識してこのように動かしましょう」というコーチングが必要となってきます。

間違えて動かしてしまっている動きに対して

  • なぜその筋肉を使いたいのか
  • その筋肉とは身体のどこに位置しているのか
  • どう練習したらその筋肉を使えるようになるのか

というのをコーチが説明してくれると、より理解が深まり、理想的な動きに近づけます。

感覚的なコーチングを辞めるためには

感覚的なコーチングを辞めるためには、一番はコーチを変えることです。
しかし、「実際には、コーチを変えられない。」「良いコーチが見つからない」といったこともあります。

そこで、

  • コーチを探す上でのポイント
  • コーチを変えられない、見つからない場合の対応策

をご紹介します。

コーチを探す上でのポイント

最近のスイミングスクールやトライアスロンスクールではお試しの体験スクールを実施しているところが多いです。

職場や自宅の近くから順に探していってみましょう。

そこで、今現在既にフォームについて悩みがあるならその悩みを、悩みが無いなら「クロールのキャッチからプルで背中を使ってかくってどういうことですか?」という質問を実際にコーチに聞いてみてください。

その説明でご自身が納得してその場で実践して少しでも感覚をつかめるようになったらそのコーチはアタリです。

コーチを変えられない、見つからない場合の対応策

探したけど見つからない場合はYoutubeなどの動画か治療院をおすすめ致します。

Youtube等の動画で正しいフォームを確認し、練習に活かす

最近ではYouTubeでもフォームについての説明動画がアップされています。
色々な動画がありますのでご自身にはまる説明をしている動画に出会えるかもしれません。

しかし、動画のデメリットは観てすぐに実践することが難しいという点は注意が必要です。

治療院にて身体の構造や筋肉の動きを教えてもらう

治療院ではコーチではなく施術者に教えていただきます。

治療院は、体の動き、筋肉の動きのプロです。
そのため、理論立てて説明してくれる施術者はいるはずです。

ただし、そのスポーツに対してのプロでは無いので、注意が必要です。

感覚の世界においても理論的な指導は大事

スポーツの世界は感覚的な話が多いですが、理論立てなければいけない部分も間違いなく存在します。

ご自身がレベルアップするためにも、怪我を予防するという観点からも、正しいフォーム=正しい筋肉を使うことと理解しましょう。

フォームは「なんとなくこうやっている」だと一定以上のレベルからは伸び悩みますし、どこかが痛くなる可能性も充分にあります。
今回はクロールのキャッチからかき込みという動作に絞って説明しましたが、基本的にはどのスポーツにおいても、どの動きでも「この動きの時はこの筋肉を意識すべき」というのがありますので、それをしっかりと説明してくれる指導者を探しましょう。

そしてそのような指導者を探すこともまた練習と同じくらい大切なことです。

ご自身の目標に達成するためにも、今受けている指導内容とご自身の身体の使い方にも目を向けてみましょう。

著者プロフィール

今野 弘章
今野 弘章
自身の元競泳選手の経験や、「アスリートは体の痛いところを治せば良いわけではない」という考えから、

競技中(日常生活)の痛みの改善
「この部位に力を入れられない」といった身体の悩みの改善
通常時、痛み時のトレーニング
日頃のメンテナンス

など、より良いパフォーマンスにつなげるための、治療、指導を行っております。

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