水泳における体幹と軸の関係性+体幹トレーニング例

高輪で鍼灸治療院を開いている今野です。

自身が元競泳選手ということもあり、アスリート専門の治療院となっております。

一般的な治療院との違いは、痛みを治すことや硬い部位を緩めるだけではなく、「特定の部位に力が入っていない」ことや「可動域が狭い」あるいは「自覚していない骨格の歪みや筋力不足」などを改善してパフォーマンスアップに繋げることをゴールにしている点です。

今野鍼灸治療院では治療のその先を常にイメージしながら、アスリートの自己実現をサポートしていきます。

サッカーの長友佑都選手が有名になり、それと同時に一般的に有名になったのが「体幹トレーニング」です。

腰痛を始めとする故障の多かった長友選手が体幹を鍛え直し、鍛え抜いていることで故障が減りパフォーマンスが上がり、日本代表の座を不動のものにしたと言われています。

スイマーやトライアスリートでも体幹を鍛えている人は多いのですが、お話を聞いてみると代表的なトレーニングはプランクで、それ以外はさほど行っていないようです。

しかしながらプランクだけでは不充分だと個人的には考えていますので、その理由を体幹と軸の関係性も含めて詳しく解説していきたいと思います。

今回はスイマーやトライアスリートの水中での動きに焦点をあてていきますが、基本的な考え方は陸上の動きでも同じと理解し読んで頂けたらと思います。

体幹の重要性

体幹とは簡単に言い換えれば胴体の部分です。

体幹部が弱いということは固定力が低いということ。
固定力が低いと手や足の動きにつられて身体の中心軸がブレてしまうことになります。

軸がブレるということは、それだけ動きの精度が落ちますし、推進力も落ちることになります。

ここで自転車をイメージしましょう。

自転車のフレーム部分が柔らかかったらペダルをぐっと漕いでもフレームがクニャッとなってしまい、力がタイヤに伝わらずに進むことが出来ません。

フレーム部分が体幹に該当し、ペダル部分が手や足になります。

いかに体幹部分を固定した状態で手足を動かして推進力を得るのかがポイントになるわけです。

水泳においては軸がブレた分だけ身体が左右上下に動くということ、それは水に対する抵抗が増すことに繋がります。

水泳というのはいかに抵抗を減らすのかというのもパフォーマンスアップには欠かせませんので、とても重要なことです。

いくら筋力や筋持久力が高くても抵抗が強い泳ぎ方をしていたらすぐに疲れてしまい、長く、速く泳ぐことはなかなか難しいです。
50mの自由形まではなんとか泳ぎきれても、100mは間違いなくそのスピードをキープ出来ません。

また、体幹がしっかりと安定してこそ手と足の動きに連動性が生まれ、効率よく泳ぐことができます。
逆に体幹が弱いと手足の筋力に頼って泳ぐフォームになりがちなので、筋力に頼るとすぐ疲れますし、怪我にも繋がりやすくなります。

手や足の動きというのは体幹が安定してこそ発揮されることを覚えておきましょう。

これはどんなスポーツでも同様です。サッカーのボールを蹴る動作、野球やゴルフの打つ動作、ボートを漕ぐ動作、全て体幹部が安定した状態だからこそ力がボールや水に伝わります。

プランクだけでは不充分

体幹部のトレーニングと言えばプランクが非常に有名です。

プランクは確かにとても良い体幹部のトレーニングですが、それだけではアスリートは不充分です。
なぜならプランクには動きがないからです。

肘とつま先で身体を浮かせた状態でキープし続けるわけですが、この時の体幹部の姿勢のまま行うスポーツは多くありません。

強いて言えば「弓道」は体幹部の姿勢のまま行うスポーツかもしれませんが、ほとんどの競技は動きながら行います。

よって、体幹部のトレーニングもプランクに加えて動きが加わるトレーニング。
特にねじる動作が入るトレーニングをおすすめします。

腹筋で言えば膝を曲げて腹筋動作をするのではなく、左肘と右膝、右肘と左膝を近づけて行うねじる腹筋が好ましいです。
その理由は単純に人の体は動く時に身体をねじって動くからです。

トレーニング例に関しては、以下の動画の2:07からをご参考ください。

特にプランクを2分以上行っていて他の体幹トレーニングを行っていない場合は「自分は2分以上プランクが出来るので、体幹部は強い」と思ってしまいます。

確かにプランクの面から見ればプランク2分を行えるだけの強さはあります。
しかしながらアスリートの場合は、目的はプランクを2分行うことではなく、体幹を強くしてパフォーマンスを上げることです。

パフォーマンスを上げたいアスリートほど様々な種類の体幹トレーニングを行うべきですので、この点は注意が必要です。

トレーニング例(バランスボールと水中練習)

バランスボールを使ったトレーニング

ではスイマーやトライアスリートが行うべき、ねじり動作の入った体幹トレーニングをひとつ挙げます。

様々な体幹トレーニングを行うべきですが、その中にこのトレーニングは絶対に組み込むべきトレーニングです。
なぜなら泳いでいる姿勢とこのトレーニングの姿勢が酷似しているからです。

水中でのドリル練習

これをイージーやスイムダウンの時に25mくらい行うと軸が真っ直ぐなのかどうかの確認作業を行うことが出来ます。

この水中でのドリル練習は体幹がしっかりして軸が安定していることが求められます。

通常のクロールのように頭方向に進行方向が向いている時は推進力が強いので、体幹や軸のブレというのは誤魔化せてしまいます。

それが足方向に進むことで推進力があまりない中で体幹や軸に意識を向けると、どれだけブレているのかが目立つので容易にわかりますし、実際ブレている人ほどあまり進みません。

このドリルで左右にブレずに進めるようになったら通常のクロールでもかなり軸は安定してきたと思っていいでしょう。

また、水泳ではつい手のひらだけで水をつかんで進んでいると思いがちですが、手首から肩の腕部分でも推進力になっています。

手の甲側を使って泳ぐと手のひら側で泳ぐよりも推進力を得られません。

そのため、より「腕で水をつかんで推進力を得る」という感覚を習得しやすくなるのもこのドリルの良いところです。

是非スイマー、トライアスリートは練習のたびに取り入れていきましょう。

アスリートにとっての体幹とは軸のため

トップスイマー、特にスプリント(短距離)のスイマーは手足をかなりの速さで動かします。

その動きを軸をキープしながら支えられるだけの強さが体幹部に求められますので、かなりの時間を陸上での筋力トレーニングに費やします。

最近のスプリンターは例えば週に6日トレーニングを行う場合はそのうちの3日は陸上でも筋力トレーニングを行い、その時間配分は水中トレーニング1時間半に対して筋力トレーニングが1時間だったり、水中が1時間、陸上が1時間半というような比率のチームもあります。

勿論これは体幹部だけのトレーニングを行っているわけではありませんが、僕が現役の時は水中トレーニングが2時間に対して筋力トレーニングは30分ほどでした。

それだけ重要視している部分が以前とは異なってきているということです。

そしてそれは毎年のように日本記録が更新されているという結果に結びついているひとつの要因になっています。

ぜひ、プランクだけしか行っていないアスリートは他の体幹トレーニングも取り入れて強い体幹部、そして軸のブレない体幹を手に入れてパフォーマンスアップを目指しましょう。

著者プロフィール

今野 弘章
今野 弘章
自身の元競泳選手の経験や、「アスリートは体の痛いところを治せば良いわけではない」という考えから、

競技中(日常生活)の痛みの改善
「この部位に力を入れられない」といった身体の悩みの改善
通常時、痛み時のトレーニング
日頃のメンテナンス

など、より良いパフォーマンスにつなげるための、治療、指導を行っております。

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