夏場の運動時における水分補給のポイントと注意点

高輪で鍼灸治療院を開いている今野です。

自身が元競泳選手ということもあり、アスリート専門の治療院となっております。

一般的な治療院との違いは、痛みを治すことや硬い部位を緩めるだけではなく、「特定の部位に力が入っていない」ことや「可動域が狭い」あるいは「自覚していない骨格の歪みや筋力不足」などを改善してパフォーマンスアップに繋げることをゴールにしている点です。

今野鍼灸治療院では治療のその先を常にイメージしながら、アスリートの自己実現をサポートしていきます。

これから暑い時期に入ると水分補給はトレーニングの質だけでなく、熱中症にも大きく関わってきますし、熱中症をあまく考えていると生命を脅かすことになります。

そこで今回は水分補給に関して、水分だけではなく塩分(ナトリウム;Na)や糖質などとあわせて詳しく解説していきますので、効率的な水分補給を目指して真夏でもトレーニングの質を落とさないようにしていきましょう。

この記事は管理栄養士の監修の元書いております。

トレーニング中に必要な水分量

人間が一時的に失っても大丈夫といわれる水分量としては、体重の2%までといわれています。(体重が60kgの人は1.2kgです。)

2%以上失うとまず運動機能が落ち、5%ほどで頭痛、10%ほどで死に至る可能性があります。

トレーニング中の急激な体重の変化は、ほぼ水分の変化を表すので、トレーニング前後で体重の変化をみることが水分コントロールの指標となります。

気温や湿度、トレーニングの種類、強度、トレーニング前の体内の水分量等にもよりますが、1時間のトレーニングで失う汗の量は平均的にはおおよそ1リットルといわれていますが、汗をかきやすい方もいれば、かきにくい方もいるので、誤差や個人差があります。

具体的にご自身が1時間のトレーニングでどれだけ汗として水分を失うのかを知りたい場合は、トレーニング中に水分摂取をせず、トレーニングの前後で裸になって体重計測をして比較してみましょう。

また、2%という数字に拘らずに、口の乾きでも判断することが出来ます。

口が乾き始めたら脱水症状が始まっているということなので、体重の2%前後を失っている可能性があります。

よって、口の乾きを覚えたら可能な限り水分をたくさんとりましょう。
理想は口が乾く前に定期的に一口ずつ水分をとることです。

それ以外でも、尿の色によっても判断できます。
尿が黄色ければ黄色いほど脱水症状が強まっているので、起床直後以外はなるべく尿はいつでも透明に近い色になっていることが理想的です。

多少の誤差や個人差、トレーニングの強度によって異なりますが、1時間のトレーニングであればどんなに少なくても500ml、汗をかきやすい人は1500mlほど用意しておきましょう。

トレーニングで排出される塩分量と摂取方法

汗1リットルに含まれている塩分量はおおよそ4~5gといわれています。

食事からある程度の塩分を摂っているため、例え汗1リットルに4~5gの塩分が含まれているからといってすぐさま同等の塩分を補給しなければいけないというわけではなく、トレーニング中は最低限の塩分を摂取すればそこまでシビアに考える必要はありません。

そのため、水分補給時のドリンクでの塩分摂取を行いましょう。

ドリンクに関しては、100mlあたり0.1~0.2%の塩分が含まれていれば充分です。
好みのドリンクの成分表を見て「食塩相当量」の数字を確認しましょう。(食塩相当量が0.1~0.2gであれば問題ありません。)

さらに気になる方は、塩タブレットを1~2粒なめるのもマイナス効果になることはありません。

日本人は基本的に塩分過多です。

1日の塩分摂取量を男性は7.5g、女性は6.5gを目指して、合計摂取量を減らす努力をしつつ、トレーニング中は最低限の塩分を摂取すればそこまでシビアに考える必要はありません。

糖質の重要性と摂取方法

糖質はトレーニング中のエネルギー源なので、特に中長距離系のトレーニングを行っている場合はある程度補給しながらの方がエネルギー切れでトレーニングの質が下がることを回避できます。

塩分摂取と共に糖質の摂取が重要なもうひとつの理由は、糖質の主成分であるブドウ糖は腸管内(主に小腸)でナトリウム(塩分)が同時に存在していると吸収される速度が速まることがわかっているからです。

ブドウ糖とナトリウムが吸収される際に水分も引っ張られて吸収されることになるので、水だけを飲むよりも効率が良くなります。

量でいうと4~8%ほどの糖質が効率的と言われていますので、成分表の「糖質」の数字を確認し、100mlあたり4~8%程度含まれている商品を選びましょう。
※もし糖質ではなく「炭水化物」や「ブドウ糖」と表記されていても同じように4~8%の枠で選んでください。(厳密に言えば糖質、炭水化物、ブドウ糖は異なりますが、長くなりますのでここでは省きます。)

アミノ酸の摂取もおすすめ

翌日に疲労を残さないようにしたいアスリートやエネルギー切れを回避するためにもアミノ酸が入っているドリンクもおすすめです。

アミノ酸の含有量が多ければ多いほど価格が高くなったり、アスリート用の本格的なドリンクはコンビニやスーパーでは売っていなかったりするので、アミノ酸に関してはどこまでトレーニング中のドリンクにアミノ酸含有量を求めるのか、利便性や価格を気にするのかどうかにもよります。

入っていない商品よりも少しでも入っていたほうがいいのは確かですので、似たような価格であればアミノ酸が入っている商品を選びましょう。

水分補給における注意点

水分補給時には、以下のような注意が必要です。

注意点1:薄める

インターネット上で時折「市販のスポーツドリンクを2倍に薄めたほうがいい」という記事を見かけます。

これは例えば味が濃すぎる事で運動時には飲みにくかったり、糖分が高すぎることでダイエット目的にトレーニングをしている場合には適していないから、などという理由が挙げられます。

ただ「2倍に薄める」ということだけを切り取って理解してしまうと、例えば糖質が100mlあたり4%のドリンクを2倍に薄めたら糖質は2%になります。

糖質が2%まで落ちてしまうと、糖質の段落で述べた吸収率が落ちてしまうことに繋がりますので、薄めることで生じるデメリットもしっかりと理解した上でご自身で調節することをおすすめします。

注意点2:真水はNG=真夏のトレーニング×水分補給

真夏はただでさえ汗をかきやすく、トレーニングをするとさらに汗をかきます。

いくら食事である程度塩分を摂っているからといって、真夏は水分補給に真水を選ぶことはやめましょう。

汗を流すと体内のミネラル、特に塩分を失います。
そこに塩分の含まれていない真水を補給すると、体内の塩分濃度はさらに薄まります。

著しく体内の塩分濃度が薄まると低ナトリウム血症という症状に繋がります。

注意点3:水分補給としてのアルコールは絶対NG

アルコールは利尿作用がありますので、真夏のトレーニング中やその後の水分補給としてアルコールを選ぶことは絶対にやめてください。

詳しくは「アルコールがアスリートに及ぼすダメージとその対策」として記事を書いてますので、そちらを参考になさってください。
https://konno-chiryo.com/alcohol/

真夏の水分補給はスポーツドリンクで必要な摂取を(必要な成分量まとめ)

真夏の水分補給は真水ではなく、スポーツドリンクを選びましょう。

1時間のトレーニングにつき、それぞれの量・成分(100mlあたり)としては

  • 水分量:500~1500ml
  • 塩分:0.1~0.2g
  • 糖質:4~8%
  • アミノ酸:多いほうがより良い

というのを参考にしつつ、その中でご自身に合った味を探してみてください。

著者プロフィール

今野 弘章
今野 弘章
自身の元競泳選手の経験や、「アスリートは体の痛いところを治せば良いわけではない」という考えから、

競技中(日常生活)の痛みの改善
「この部位に力を入れられない」といった身体の悩みの改善
通常時、痛み時のトレーニング
日頃のメンテナンス

など、より良いパフォーマンスにつなげるための、治療、指導を行っております。

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