パーソナルトレーナーの落とし穴。自分に合ったトレーニングとは?

高輪で鍼灸治療院を開いている今野です。

自身が元競泳選手ということもあり、アスリート専門の治療院となっております。

一般的な治療院との違いは、痛みを治すことや硬い部位を緩めるだけではなく、「特定の部位に力が入っていない」ことや「可動域が狭い」あるいは「自覚していない骨格の歪みや筋力不足」などを改善してパフォーマンスアップに繋げることをゴールにしている点です。

今野鍼灸治療院では治療のその先を常にイメージしながら、アスリートの自己実現をサポートしていきます。

先日来院してくださった患者様とのお話に挙がったパーソナルトレーナーについて今回は取り上げていこうと思います。

この患者様は、「今はスイムがメインだけど、ゆくゆくはトライアスロンに挑戦したい」と思っている女性です。

ここ数年、健康志向が向上して健康ブーム、パーソナルトレーナーブームが来ています。
街でもパーソナルトレーナー専門ジムを良く見ますし、フィットネスジムでもパーソナルトレーナーのレッスンがあります。

健康のためにジムに通ってトレーニングをして運動をする習慣や癖をつけること自体はとても良い事だと思います。

しかしながら、それぞれの目的に沿ってプログラムは組まれているのでしょうか?

先日の患者様の話では残念ながら沿っていないように思えたので、これを読んでくださっている方、特にパーソナルトレーナーをつけている方はご自身のトレーニング内容とその目的を再確認するきっかけにしてみてください。

目的とトレーニング内容は一致しているのか再確認

トレーニングを行う目的は、

  • 見た目を含めたダイエット
  • ご自身の行っているスポーツのパフォーマンス向上

など、人それぞれ色々だと思います。

そして、

  • スポーツをしているわけではなく、とにかくダイエットをしたいという方
  • 不定期でも定期でも試合、大会、レースに出るようなスポーツをしている方

では、やるべきトレーニング内容というのは大きく異なります。

ダイエット目的の場合

ダイエット目的の方にとってウェイトトレーニングが一番理想となります。

例えば、1回30分を週に2回という同じ時間数を費やす場合、ジョギングだけ行うのとウェイトトレーニングだけ行うのとで比べたらウェイトトレーニングだけを続ける方が痩せやすくなります。

スポーツのパフォーマンス向上の場合

反対に、

  • 今現在なにかしらのスポーツを定期的に行ってる
  • 試合、大会、レースにも出場している方
  • そのパフォーマンスを向上させたくサポート的な意味合いでパーソナルトレーナーをつけている。
  • その内容としてウェイトトレーニングを行っている

という場合、僕個人の考えではウェイトトレーニングが優先順位の1位に来ることは非常に少ないです。

特定の種目、例えば重い物を持ち運ばなければいけないような重量級の柔道のような種目や、10~20歳代の成長期を除いた場合は違うトレーニング内容が優先されると思います。

特に社会人になってからも続ける場合はトレーニングに割く時間も限られてきます。
効率よくパフォーマンスを上げるために、怪我や痛みがない状態でトレーニングをする。それが何より重要なことです。

なぜウェイトトレーニングが優先順位の1位ではないのか?

ここで知っておかなければいけないことは、筋肉には「特殊性」という一面があります。

例えば野球が上手くなりたい人が、サッカーの練習を積んでも野球が上手くならないというのは誰もがわかることと思います。
これと同じで、その目的とする運動と同じ運き、もしくは酷似した動きをしないと目的とする運動に繋がらない、ということです。

野球とサッカーはあまりにも極端なので、ジャンプ力とスクワットにしましょう。

「ジャンプ力を上げたい=スクワット」ではない。

「バスケット選手でジャンプ力を上げたい。」という方がいたとします。

その際に、スクワットが優先すべきトレーニングの順位1位にくるかというと、全くそんなことはありません。

特に、バスケットの試合では連続してジャンプをすることもあると思います。
その際の2回目のジャンプにはほとんど役に立ちません。

なぜなら、スクワットによる基礎的な筋力の増強というのは望めるのですが、それが単純にジャンプ力の強化にはならないからです。

ジャンプ力を伸ばしたければジャンプ動作を入れたトレーニングが必要です。
そして、連続ジャンプが必要な競技には、連続ジャンプを取り入れたトレーニングが必要ということです。

ただ先ほども申し上げた通り、成長期は除きます。

優先順位の1位にくるべきトレーニング内容の見極め

今までお話させて頂いたように、「今あなたが夢中になってやっているスポーツの動きに繋がる動作が含まれているトレーニング」を、「そのスポーツの動きを意識しながら行う。」という事が非常に大事になります。

そのため、パーソナルトレーナーに作成してもらったメニューに対して、

  • なぜメニューの中にベンチプレスがあるのか。
  • なぜダンベルプレスではなくバーベルを使ってのベンチプレスなのか。
  • 限られた時間の中でやるべきトレーニングがベンチプレスなのか。

といった、疑問や、現在行っているスポーツとの関連性をパーソナルトレーナーに聞いてみましょう。

そして、納得の行く説明が出来る、メニューに根拠のあるパーソナルトレーナーを選ぶべきです。

トライアスロンを目指す女性へのオススメは?

では、話が冒頭に戻るのですが、来院された女性に僕が何をおすすめするかというと、優先順位の1位にくるのはバランスボールです。

ファンクショナルトレーニングという言葉を聞いたことがある人も多い時代だと思いますが、バランスボールはまさにファンクショナルトレーニングを行うのに最適なアイテムだと思います。たったひとつのバランスボールで全身を鍛えられます。

ファンクショナルトレーニング:
直訳すると「機能的な運動」です。ベンチプレスのように大胸筋、三角筋(前部)、上腕三頭筋、前腕部という上半身に限った運動効果ではなく、上半身と下半身にまたがって全身を鍛えられ、尚且つ目的とするスポーツに近い動きで筋肉を鍛えられるメリットもある

本来のパーソナルトレーナーが提供するものとは?

どのトレーニングが万人に対して絶対にプラスになる、というのは存在しません。

トレーニングを積んでいる人は何歳で何を目的としているのか。

これを元に色々あるトレーニングの中からその人に合ったベストなトレーニングを1対1で提供するのがパーソナルトレーナーだと思います。

「その人に合ったトレーニングを」というのが抜けているなら本来のパーソナルトレーナーではないので、そこに目を向けて今行っているトレーニングについて「なぜ?」を考えたりトレーナーに聞いたりしてみてください。

当院にはマシンやバーベルを置くスペースはありません。院に置けるアイテムも限られています。
しかしながらそれでもアスリートが鍛えるべき箇所を鍛えるべきやり方で鍛えるというのは提供できます。バランスボール、バランスマット、チューブを使ってのファンクショナルトレーニングを中心に、今あなたの体にとって鍛える箇所を鍛えていきます。お気軽にご相談ください。

著者プロフィール

今野 弘章
今野 弘章
自身の元競泳選手の経験や、「アスリートは体の痛いところを治せば良いわけではない」という考えから、

競技中(日常生活)の痛みの改善
「この部位に力を入れられない」といった身体の悩みの改善
通常時、痛み時のトレーニング
日頃のメンテナンス

など、より良いパフォーマンスにつなげるための、治療、指導を行っております。

関連記事

  1. アスリートに多い腰痛の原因と解決策

  2. スポーツ選手におけるEMSを利用したトレーニングの効果

  3. アスリートに求められる最高のウォーミングアップ

  4. 怪我を抱えたままトレーニングの継続することによる影響

  5. 怪我をしない筋トレをするための4つのポイント

  6. 怪我や痛みを重症化させないためには