整骨院での保険診療を受ける際の注意点

高輪で鍼灸治療院を開いている今野です。

自身が元競泳選手ということもあり、アスリート専門の治療院となっております。

一般的な治療院との違いは、痛みを治すことや硬い部位を緩めるだけではなく、「特定の部位に力が入っていない」ことや「可動域が狭い」あるいは「自覚していない骨格の歪みや筋力不足」などを改善してパフォーマンスアップに繋げることをゴールにしている点です。

今野鍼灸治療院では治療のその先を常にイメージしながら、アスリートの自己実現をサポートしていきます。

整骨院、または接骨院は街の至る所で見かけるので通院したことがある人も多く、これから通院しようかと検討している人も多いのではないでしょうか。
整骨院のメリットとしては健康保険を使えることで通院する費用を抑えられる点が大きいので、通院がし易いと考えられます。
しかし、状況によっては、整骨院で保険診療が受けられない場合もあります。

そこで、整骨院で保険診療に受ける際に、注意すべき点もいくつかあるので、ここで詳しく解説していきます。

※当院の院長は柔道整復師の資格を保有していないので、当院では保険診療は受け付けておりません。

保険診療が受けられる施設、症状、期間とは?

整骨院、接骨院、鍼灸整骨院、鍼灸接骨院、これらの名前をよく見かけます。
(以降の文章では、まとめて「整骨院」と表現させて頂きます。)

これらの母体は全て同じで、「柔道整復師」という国家資格を保有した施術者がいることです。

この「柔道整復師」という国家資格を保有した施術者がいることで保険診療が可能となります。

保険診療が可能な症状

本来の柔道整復師が行える保険適用の条件というのは、骨折や脱臼の第一処置と捻挫のみとなります。

しかし、現実には、「肩こり」「首コリ」「腰痛」「寝違え」…
どんな症状でも、”保険を扱う整骨院”では保険適用にしています。

それは、訴えている部位に応じて捻挫の理由を適当に考えて保険請求を行っているためです。

これは、違法となります。
しかし、取締が行われていないのが現実となっております。

保険診療が可能な期間

整骨院において保険を使って施術して、整骨院が請求できる期間というのは「同一部位においては3ヶ月間まで」という上限が設けられています。
なぜなら柔道整復師が保険請求を行える症状としては「打撲、捻挫、肉離れ等の挫傷、骨折や脱臼の応急処置」のみで、それらを完治させるのにどんなに長くても3ヶ月を上回るのはおかしい、という考えからきています。

保険診療を受ける際の注意点

保険を利用して治療を受ける場合には、以下の5項目には注意が必要になります。

疎かにしてしまうことで

  • いつも通っている整骨院で保険の利用ができなくなってしまった
  • 保険が使えると思っていたが使えなかった
  • 違法行為の片棒を担がされてしまった

といったリスクがあります。

注意点1:同月内に整形外科を受診している場合には、健康保険が使えない

整骨院では保険が使える点がメリットではありますが、健康保険を使えない場合もあります。

例えば同じ月の中で整形外科や他の整骨院の受診をしている場合です。
「同月内で整形外科と整骨院に受診した場合、保険請求がおりるのは整形外科のみ」というルールがあります。

いくつかのパターンにわかれますので、パターン別にわけて解説します。

パターン1:整形外科に行った後に初診として整骨院に行った場合

例えば、「突然肩が痛くなったので不安になって整形外科で診断を受けたかった。骨に異常がなく、リハビリをすすめられたけど、整形外科は混んでいて時間がかかるから近所の整骨院に行く」というようなケースです。

整形外科での診断がどうあれ、同じ月の中で整骨院にも通った場合、保険請求がおりるのは整形外科と決まっています。
つまり、整骨院の保険請求は返されてしまい、本来は売上に計上できていた分を失うことになります。

それを避けるために、整骨院では初診の問診時に「整形外科に受診しましたか?」と聞くようにしています。
そこで正直に整形外科に行ったことを伝えれば、整骨院の施術は自費となり、翌月から保険適用になります(翌月に整形外科に受診しなければ)

自費は「自由診療」というくらいなので、価格はその整骨院次第です。 (10分につき1000円というのをよく見かけます。)

正直に伝えずに保険適用で施術を受け続けた場合、初診の月から2~3ヶ月後あたりに整骨院側から「整形外科に行きませんでしたか?保険請求が返されてしまいました」と言われます。

整形外科にはそれ以降行っていないのならその旨を伝えれば、保険適用のまま通院できるかと思われます。
それ以降も整形外科に通っているなら、その時点でちゃんと伝えたほうが良いです。
なぜなら翌月も同じように保険請求が整骨院に返ってきてしまうので、同じことを整骨院側から言われ、おそらく「もう保険を使っての施術はお断りします」と言われる可能性が高いです。

返ってきてしまった保険請求分を患者さまに請求してきたというようなケースは僕は聞いたことがありませんが、整骨院としては「泣き寝入り」状態で、本来得られるはずの売上を得られずに終わります。
整骨院も売上があってこそ成り立つので、自分が保険を使って安く施術を受けた結果どうなるのかというのは大人としてちゃんと考えたほうが良いでしょう。

パターン2:以前から通っている整骨院に行きながら、突発的に同月内で整形外科に行った場合

例えば「普段は整骨院に通っている。レースに出場して、転んで捻挫をしてしまった。かなり腫れているので、骨に異常がないのかを念のため確認しておきたい」というようなケースです。

このケースも上記と同様に保険請求でおりるのは整形外科になります。

そのため、整骨院での施術時に整形外科に行った旨を伝えましょう。
その際、月内でのその日以降を自費での施術とするのかは整骨院次第です。
自費に切り替えた時に施術料が高くなり、それが原因で整骨院に通わなくなる患者さまがいらっしゃるのも事実です。
その月の保険請求分を諦めて今後も患者さまに通ってもらうよう頑張るのか、自費に切り替えさせてもらい、それでも患者さまが通ってくださるのか、通わなくなってしまうのか。
こういったことを考慮して、どういった答えを出すのかはその整骨院によります。

もし整骨院の保険請求がおりないということを知らなかった場合には、2~3ヶ月後に「この月に整形外科に行きましたか?」と聞かれます。
捻挫のために行った旨をきちんと伝えましょう。
(その後は整形外科に行っていないなら、整骨院がその月の保険請求分を諦めてその話は終わりになることでしょう。)

パターン3:整骨院に通院していたら整形外科に行くようすすめられた場合

例えば「肩の痛みで整骨院に通っているけど、痛みがなかなか変わらない。整骨院の施術者から『関節に炎症があるかもしれないから1度整形外科に行って診断を受けたほうがいい』とすすめられた」というケースです。

この場合はその月の保険請求分を整骨院側としては諦めた上で患者さまのことを考えて整形外科に行くことをすすめていますので、健康保険のことは考えなくて大丈夫です。
但し、他の部位で整骨院に通院したくてもそれは自費になります。

注意点2:組合保険によっては、整骨院への通院を許可していない組合も存在する。

ご自身の健康保険が組合保険の場合、整骨院への通院を許可していない組合も存在します。

健康保険とは本来「病気や怪我のための治療として患者さまの負担を減らすため」にあります。
しかしながら実際は整骨院に通院する多くの患者さまが「リラクゼーション目的」として気持ちよくマッサージを受けるために通院しているため、一部の組合保険がそれを禁止するようになった流れです。

国民健康保険や協会けんぽと比較すると、組合保険では加入者が少ないことがほとんどです。
それ故に限られた資金を「病気や怪我の治療をした際の保険として使う」ためにプールしていくのも当然かと考えられます。仮に整骨院の保険請求に全て支払い、その保険金が足りなくなってきてしまったら月々の保険料を上げることにも繋がります。

ご自身の健康保険が組合保険の場合、整骨院に通院する際にはご自身の症状が「リラクゼーション目的」ではないことを確認してから通院するようにしましょう。

注意点3:保険を使って請求できる期間は、同一部位においては3ヶ月間まで

上記でも記載しましたが、整骨院において保険を使って施術して、整骨院が請求できる期間というのは「同一部位においては3ヶ月間まで」という上限が設けられています。
なぜなら柔道整復師が保険請求を行える症状としては「打撲、捻挫、肉離れ等の挫傷、骨折や脱臼の応急処置」のみで、それらを完治させるのにどんなに長くても3ヶ月を上回るのはおかしい、という考えからきています。

では4ヶ月以上継続して通院している場合、整骨院がどのように請求しているのか例に挙げましょう。

ケース1:3ヶ月毎に一旦請求をストップする

1~3月は保険請求をし、4月は保険請求をしない、5月からまた請求をする、というのを繰り返します。
その場合の4月の保険請求分は諦めることになりますが、それでも5月以降に通院してくださることを考えたら充分プラスだと考えてのことです。

ケース2:3ヶ月毎に請求部位を変える

1~3月は肩、4~6月は膝、7~9月は首、というように、請求する部位を変えて対応することも可能です。

実際は下の2つのやり方を組み合わせて対応している整骨院が多いことでしょう。
あくまでも「捻挫をしたから一定期間整骨院に通った」という状況を作り出して、保険者に疑われないように対策を練って保険請求を行っています。

注意点4:「整骨院」という名前でも保険が使えない場合がある

前項でお伝えした通り、柔道整復師が保険請求を行える症状としては「打撲、捻挫、肉離れ等の挫傷、骨折や脱臼の応急処置」のみです。
これらの症状以外で整骨院に通院する場合、何かしら理由を作り上げて保険請求をしています。

例えば肩こりというのは本来整骨院では保険適用にはなりません。
ではどう整骨院が保険請求をしているのかというと、「自宅で清掃をしている際に椅子につまづいて転倒し、床に手をついた時に肩を捻って痛めた」というような「捻挫」という症状とそれに対する「空想上の負傷理由」を作って請求します。
これをご自身が保険を使って安く整骨院に通うために「必要な嘘」とするのか、「それは違う」として保険を使わないのかはご自身のモラルとも密接に関わってきます。

また、整骨院側としてもこういった本来の保険請求とは外れたやり方で売上を上げていくことを良しとしない整骨院も増えてきているので、慢性的な症状、例えば肩こりや腰痛、筋肉疲労は自費で施術をし、「打撲、捻挫、肉離れ等の挫傷、骨折や脱臼の応急処置」に関しては保険を使っていく、という整骨院も増えてきています。

昔ほど「整骨院=保険が使える」ということではないので、初めて行く整骨院で保険を使えない場合はこういった背景があることを知っておきましょう。

注意点5:架空請求、水増し請求などの犯罪に加担

架空請求と水増し請求は違法行為です。
前項のように、多くの場合は負傷理由を”作って”保険請求するわけですが、その際、

  • 膝の痛みで整骨院に通院しているのにも関わらず、保険請求は膝のみでの請求ではなく、肩でも請求している
  • 今月通院したのは8回なのに、16回通院したことになっている

といった「実際の施術内容や通院回数と異なる保険請求」を整骨院が行うと、架空請求や水増し請求となります。

架空請求や水増し請求は患者様に了承を得て行うことはありません。
そのため、整骨院に通院している方は、心配なら保険者から送られてくる「医療費のお知らせ」を確認しておきましょう。
もし架空請求や水増し請求が行われていたことが発覚したなら、保健所に行きましょう。
その場合は通院したことになっている日に通院していない旨を証明できるなにかがあるとベターです。

「違法行為の片棒を担がされたような気がする」というような、モヤモヤした気持ちを抱く人も中にはいるかもしれませんが、架空請求や水増し請求をされた患者さまとして、直接的なデメリットというのはありません。
ただ、違法請求を含めて今後整骨院業界からの保険請求が増した時に、保険者側が保険請求分を整骨院に支払わない日が来ないとは言い切れません。

いたずらに保険請求が増すことは保険者の負担にしかなりません。
よって、違法請求が発覚した際は保健所に連絡をし、違う整骨院へ通院するようにしましょう。

保険診療について考えてから通院しよう

以上が整骨院にて保険診療を受ける注意点です。
整骨院に通院している方の中でもここまでのことは知らない方がほとんどなのではないでしょうか。
保険を使って費用を安くするのが整骨院に通院するメリットと冒頭に記載しましたが、健康保険を使うということは、思っている以上に重い事柄なのです。
整骨院に通院している方はこういった点を一旦考えて、治療目的なのかリラクゼーション目的なのかを改めてご自身に問いかけて、本当に整骨院へ通院すべきなのかを決めましょう。

著者プロフィール

今野 弘章
今野 弘章
自身の元競泳選手の経験や、「アスリートは体の痛いところを治せば良いわけではない」という考えから、

競技中(日常生活)の痛みの改善
「この部位に力を入れられない」といった身体の悩みの改善
通常時、痛み時のトレーニング
日頃のメンテナンス

など、より良いパフォーマンスにつなげるための、治療、指導を行っております。

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