整骨院と治療院の徹底比較

高輪で鍼灸治療院を開いている今野です。

自身が元競泳選手ということもあり、アスリート専門の治療院となっております。

一般的な治療院との違いは、痛みを治すことや硬い部位を緩めるだけではなく、「特定の部位に力が入っていない」ことや「可動域が狭い」あるいは「自覚していない骨格の歪みや筋力不足」などを改善してパフォーマンスアップに繋げることをゴールにしている点です。

今野鍼灸治療院では治療のその先を常にイメージしながら、アスリートの自己実現をサポートしていきます。

僕の患者さまの中に「整骨院に通っていたけど改善しないからこちらに来てみた」という方は非常に多く、9割程度になります。

一度の施術でほとんど気にならなくなるケースもあれば、症状が重いと数カ月間通院して頂くケースもあります。

共通しているのは、「一度の施術で整骨院では経験しなかったほどの大きな変化がある」ということです。

なぜ整骨院では症状が改善しなく、治療院で改善するのか。そこには根本的な違いがありますので、今回は徹底的に比較をしていきます。

※接骨院、整骨院、鍼灸接骨院、鍼灸整骨院を総称して整骨院として表記しています。
※鍼灸院、マッサージ院、保険診療をしておらず自費診療のみの整骨院を総称して治療院として表記しています。
※整骨院も治療院も様々で一概に一言では言えません。ここでは僕自身の整骨院勤務時代の話と、現在の鍼灸治療院の話を例に挙げて書いていきます。

施術内容の違い:マッサージか非マッサージ

保険を使った整骨院と自費での治療院の違いというのは、施術時間や価格設定がかなり異なってきます。

中でも最も異なり、そして一番重要なのが施術内容です。

僕がいた整骨院の会社ではマッサージが主体の施術でした。

まずは何よりも気持ちの良いマッサージを提供すること、こっている部位、痛む部位にマッサージの圧(刺激)を与えることが施術内容になります。

患者さま一人ひとりがどんなことに満足するのかは千差万別です。
症状を改善することに満足する方もいらっしゃれば、何よりも気持ちの良いマッサージを受けている時間に満足感を覚える方もいらっしゃいます。

新入社員として店舗に配属されてひたすら練習するのは「気持ちの良いマッサージの仕方」であり、「症状をどのようにしたら改善できるのか」ではありませんでした。

そしてどう施術を組み立てれば症状を改善できるのかをほとんど知らないまま、ある程度気持ちの良いマッサージが出来るようになったら、実際に患者さまに対する施術をするようになります。

ここで僕が得た印象は、症状を改善することよりも気持ちの良いマッサージ技術の方が重要視されているということです。

僕の鍼灸治療院では、現在は気持ちの良いマッサージというのはやっておりません。

症状を作っている原因の筋肉を特定して、鍼を打ったり手を使った手技(マッサージではありません)で筋肉を緩めていき、症状を改善していきます。
時には症状の部位に対しては全く施術をすることなく、症状が改善することも多いです。

それに関しては「痛い箇所のマッサージには意味がない。痛みの改善に必要なマッサージのポイント」として詳しく記事を書いていますので、そちらもご参考にお願い致します。

痛い箇所のマッサージには意味がない。痛みの改善に必要なマッサージのポイント
https://konno-chiryo.com/massage-point/

僕は症状を改善することに重きを置いているので、必要がなければ症状のある部位を触ることもなければ、気持ちの良いマッサージをすることもない故、例えば整骨院のような施術に満足を覚える方は例え症状が改善していても僕の施術での精神的な満足度は低いこともあるかもしれません。

立地条件と治療費の違い

立地条件に関しては特に都心部では整骨院の方が数が多いので、ご自宅や職場の近くなど、徒歩圏内に必ずあると言っても過言ではありません。

治療院は整骨院に比べれば数が少ないので、場合によっては電車移動などが必要になるかもしれません。

治療費は整骨院では保険を使える分安く抑えられます。
初診料がかかったとしても初回は2000円を下回る整骨院がほとんどのはずです。

治療院は自費のために費用の幅が大きく、5000円から12000円あたりが多く見られます。
それに初診料がかかりますので、初回は数千円から1万円を超える料金設定となります。

近場で安いために通いやすさのある整骨院が多くの患者さまから好まれる理由です。

経験、知識の違い

経験・知識に関してはどちらも、直接的に整骨院と治療院の違いには結びつきません。
但し、間接的に結びつきますので詳しく解説していきます。

整骨院勤務当時、社内の先輩スタッフに

「先程の患者さま、どういう理論、理屈、考えで施術して改善したのですか?」

と聞いたことがあります。

答えは「なんとなく経験でこう感じたからそのようにやってみたら改善した」でした。

経験則で物事を語られた時、困るのは再現性が非常に低いということです。
なぜなら同じ腰痛でも腰痛に悩む患者さまが10人いれば原因は10通りあるからです。

つまり、同じやり方を10人にやってみても全員が改善するとは限らないのです。

当時の整骨院での勤務時間は月曜日から土曜日で、平日に帰宅するのは早ければ22:30頃、遅ければ終電。土曜日は18:00~19:00の間でした。
ほとんどが終電に近いような日々で、僕は正直に言えば毎日体力の限界を感じており、空き時間や帰宅後に勉強をする余裕はありませんでした。

子供がまだ小さかったこともあり、日曜日は家族との時間に費やすとそこでも勉強の時間はありません。

僕が勉強をし始めたのは、整骨院を辞めてから治療家のセミナーに参加するようになってからの話です。

治療家のセミナーに通うと、それまでのマッサージ主体の施術は全くの別物であると瞬時に理解しました。

まず痛みを改善することを目的とした治療家の手技というのは、マッサージではありません。
口で説明するのは難しいのですが、マッサージに慣れた方からすれば「何をされているのかよくわからない」ことがほとんどです。

実際、僕自身もセミナー参加中にそう感じましたし、現在の僕の患者さまは最初の施術でそう仰ることも多いです。

また、解剖学的、生理学的、理論的に施術を組み立てられるようになるので、同じ腰痛患者さま10人に対して、それぞれの原因を特定することができ、10人を改善することが出来るようになります。

そこには「たまたま治った」「なんとなく治った」というのは存在せず、「治るべくして治った」もしくはまだ勉強不足で「わからなかったから治らなかった」のどちらかです。

整骨院時代の僕と現在の僕とでは知識の量が圧倒的に違っており、まるで別人といえます。
まだまだ足りない部分もありますので、今後も引き続き勉強は続けていきます。

※以上は僕個人の話であり、全ての整骨院がこのようなケースとは限りません。
整骨院に勤務しながら外部の治療家のセミナーに参加している方も現実的にはいらっしゃいます。

患者さま一人ひとりにかけられる時間の違い

では知識さえあれば整骨院でも症状を改善できるのか?と聞かれれば、知識が増えた分改善できる数は増えたと言えるかもしれませんが、ここで次に重要となってくるのが時間です。

整骨院では複数のスタッフで1日に100人近い患者さまに対応するので、そんなに長い時間はかけられません。
症状についての詳しいお話を聞く時間が長ければ長いほど院長からのお叱りのポイントになります。

整骨院においてその日の症状についてお話を伺う時間というのはおおよそ長くて1分くらいです(既存患者さまの場合)。
そして施術時間は10分です。

症状を作ってしまっている原因の筋肉を動作確認をして特定することためには、ある程度の時間がかかります。

ひとつの症状に対する原因の筋肉はひとつとは限らず、少なくても2~3つ、多ければ5つ以上の筋肉が原因となっているケースもあります。
それを痛くなる動作から推測して当てはまりそうな筋肉を上から順に確認していきます。

そういった確認作業では数分で終わることもあれば、5分以上かかってしまうこともありますし、症状の重さや改善具合によっては施術した後に再度確認、施術、確認…と何回か繰り返すこともあります。

現在の僕の施術では1回の施術時間60分のうち、お話を伺ったり動作確認をする時間の合計は10~20分です(既存の患者さまの場合)。
幅があるのはその日の症状の重さや症状の数によって変動するからです。

このように、知識以外でもかけられる時間がそもそも異なるので、提供できる施術内容や改善する度合いも必然的に変わってきます。

整骨院では治らなかったけど治療院で治った事例

社会人の男性で、趣味としてバスケを週に1~2回行っている方の話です。

ある時突然右肩に強い痛みを覚え、バスケのプレーは勿論のこと、扉を開けるなどの日常生活動作にも明らかな支障が出ました。

まずは整骨院に通い、肩を中心に腕や背中に対してマッサージと電気治療を受け続けました。
硬い筋肉をゴリゴリとマッサージされたから痛かったのですが、痛いからこそ効いている感じがしてました。しかし、3ヶ月間通ったものの症状は特に何も変化しませんでした。

その後、インターネットで検索し、スポーツに特化した整形外科を見つけ受診。
レントゲン、CT検査をした結果、整形外科医から言われたのは以下のような内容でした。

  • 手術しないと治らない
  • 手術をしても必ず痛みがゼロになるというわけではない
  • 手術をすると何日か入院しなければいけないし、仕事もその間休まなければいけない
  • 手術をしないでバスケも辞める、という選択肢もあるのでは?

彼の決断は「手術はしないでバスケも辞めない、そのための可能性を探す」で、結果的に僕の治療院に行き着きました。

最初の3ヶ月は週に1度の来院ペースで鍼を中心に治療をし、徐々に痛みが減っていき、可動域も広がってきました。

そのタイミングで少しずつチューブを使ったリハビリトレーニングをしてもらい、週に1度の施術は継続し、約半年かかりましたがプレーしても我慢できる程度の肩になりました。

本記事を作成するにあたり、この患者さまにもお話を伺いました。

  • 月に数千円から1~2万円で大好きなバスケが続けられるなら安いと思う
  • 自費診療1回のために飲み会1回を我慢しなきゃいけなくてもそれはつらいことではない
  • 整形外科医じゃないと治せない症状もあると思うけど、整形外科医が全てではないし、整形外科医じゃなくても治せる症状もあるはず
  • 整骨院も鍼灸院もピンキリだと思う
  • 治せる施術者に出会うにはある程度の運も必要なのかもしれない
  • でもひとつ確実に言えるのは、治す可能性を諦めないこと

自分の症状の度合いに合った院を選ぶ

治療院は整骨院に比べれば安くはありません。

これは安い整骨院が良い、高い治療院が悪いというような、どちらかが良い悪いという話ではありません。
ファミレスと高級レストランに例えるとわかりやすいです。

両者には価格の違いがあり、それはそのまま様々な質の違いとなり、お客さまとしては行く目的が違うはずです。

整骨院で改善しないほど重症であっても、治療院ではそれを改善できるかもしれません。

もし今これを読んでくださっているあなたが整骨院に通っているけど症状が変わらないのであれば、治療院に行く選択肢を増やしてみてはいかがでしょうか。

著者プロフィール

今野 弘章
今野 弘章
自身の元競泳選手の経験や、「アスリートは体の痛いところを治せば良いわけではない」という考えから、

競技中(日常生活)の痛みの改善
「この部位に力を入れられない」といった身体の悩みの改善
通常時、痛み時のトレーニング
日頃のメンテナンス

など、より良いパフォーマンスにつなげるための、治療、指導を行っております。

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