低GI食品の注意点と日々の食生活で取り入れるコツ

高輪で鍼灸治療院を開いている今野です。

自身が元競泳選手ということもあり、アスリート専門の治療院となっております。

一般的な治療院との違いは、痛みを治すことや硬い部位を緩めるだけではなく、「特定の部位に力が入っていない」ことや「可動域が狭い」あるいは「自覚していない骨格の歪みや筋力不足」などを改善してパフォーマンスアップに繋げることをゴールにしている点です。

今野鍼灸治療院では治療のその先を常にイメージしながら、アスリートの自己実現をサポートしていきます。

先日患者さまより、「低GI食品は痩せるのか?身体に良いのか?そもそもなんなのか?」というご質問を受けました。
ここ数年で低GI食品をよく見るようになりましたが、僕の周りでも「低GI食品さえ食べていれば痩せる」「低GI食品だけ食べていれば健康的だ」と誤解している方がいらっしゃいます。
そこで今回は低GI食品について詳しく解説していきます。

低GI食品とは

まずは低GI食品の前にGIについてです。

GIとは、Glysemic Indexの略で、食品が血糖値をどれだけ早く上昇させるかを示す数値です。
ブドウ糖のGI値を100として、これを基準値とし、食品一つひとつが異なる値になっています。
この値が大きければ大きいほど血糖値が急激に上昇し、低ければ低いほど緩やかに上昇します。

GI値の分類は以下のように分けられています。

高GI値=GI値70以上
中GI値=GI値56~69
低GI値=GI値55以下

この低GI値に該当する食品を低GI食品と呼びます。
また、低GI食品が注目されているので一般的には影が薄いですが、高GI値の高い食品を高GI食品と呼びます。

代表例とそのGI値は以下になります。
※調理方法等により上下するため、数値に幅があります。

主食

野菜類・穀物類


乳製品


果物


お菓子類


なぜ低GI食品が注目されているのか?

最大のメリットは、血糖値の急上昇を抑えることができるという点です。
それにより

  1. ダイエット
  2. 食後の眠気、だるさの軽減
  3. 糖尿病、メタボ、生活習慣病のリスクを下げる可能性

への効果が期待されます。

以下で、それぞれ詳細に解説していきます。

1.ダイエット

食後に血糖値が急上昇した場合、膵臓から大量のインスリンが分泌され、血糖を急いで細胞に取り込みます。

身体が血糖値の急上昇に反応し、健康的な数値(食後の理想的な血糖値の上限は140mg/dL)に合わせにいってくれる為です。
そして、余った糖は中性脂肪として脂肪細胞に蓄えられやすくなります。
それが日々継続していくと太っていってしまいます。

反対に、血糖値が緩やかに上昇した場合はインスリンの分泌も大量ではありませんし、脂肪の蓄積にも繋がりにくくなります。

また、「空腹感」というのは物理的な胃の状態として感じる場合と、血糖値の変動でも感じます。

食後に血糖値が急上昇し、その後インスリンの作用で急降下すると一時的に「低血糖気味」の状態となります。
低血糖の状態ということは血糖値としては糖を必要としている、つまり何か食べ物(特に炭水化物)を欲している状態にあります。
それ故に、物理的な胃の空腹感とは別に空腹感を感じ食事を摂ってしまうことで。摂取カロリーが消費カロリーをオーバーすることに繋がりやすく、太りやすくなります。

こういった血糖値の乱高下による空腹感、食欲を、低GI食品を活用してうまくコントロールできればカロリーコントロールにも繋がり、ダイエットしやすくなります。

2.食後の眠気、だるさの軽減

食後に血糖値が急上昇した場合は大量のインスリンにより血糖値が急降下する、その場合は一時的に「低血糖気味になる」という話をしました。
これを血糖スパイクとも呼びます。

この状態だと脳に充分な糖が運搬されず、エネルギー不足により眠さ、だるさ、集中力の低下といった症状が出やすくなります。

昼食にパスタやうどん、白米を多く摂った日の午後、耐えきれないほどの眠さに襲われるのはこの血糖スパイクが影響しているかもしれません。
または、おやつにドーナツなどの甘いものを食べたり、栄養ドリンクを飲んだ直後に一瞬頭がシャキッとした後に眠たさが来るのも血糖スパイクによる典型例といっていいでしょう。

こういった症状も低GI食品を活用することで防げたり、症状の出方を緩やかにすることに繋がります。

3.糖尿病、メタボ、生活習慣病のリスクを下げる可能性

血糖スパイクが繰り返されるということは、インスリンの大量分泌が繰り返されているということです。
そうすると内臓の疲弊に繋がり、徐々にインスリンの分泌がうまくいかなくなる場合があります。
その場合は重大な疾患に繋がってしまいますので、注意が必要です。

例えば糖尿病、脂質異常症、高血圧、動脈硬化などです。

それぞれの疾患を詳しく解説すると非常に長くなるので割愛しますが、一度罹患すると生活に多大な影響を及ぼしますので、「健康診断で注意されてないからまだ大丈夫」ではなく、「健康診断で注意されないように今から気をつけよう」という認識でいましょう。
そのためにも低GI食品を活用するとスマートに対応できます。

低GI食品の誤解されやすい点

血糖値のコントロールという意味では低GI食品は優秀と言っていいのですが、誤解されやすい点もいくつかあります。

誤解1:低GI食品ならどれだけ食べても太らない

太る・痩せるという体重の上下は摂取カロリーと消費カロリーの関係性です。
いくら低GI食品だったとしてもカロリーはありますので、たくさん食べてカロリーオーバーすれば当然太ります。

また、低GI食品を食べているからその分高GI食品も食べても太らないというわけでもありません。
これも上記と同じ、カロリーオーバーすれば太っていきます。

誤解2:高GI食品は悪者

高GI食品の代表を前の項で挙げて分かる通り、高GI食品全てが悪者というわけではありません。

例えばじゃがいもにはカリウム、ビタミンB1・B6・C、食物繊維が含まれています。
これらは全て大事な栄養素です。

ただ、問題になってくるのは調理方法です。
いくら必要な栄養素が含まれているじゃがいもであったとしても、フライドポテトにして食べると油で揚げているため、油のカロリーも摂取することになってしまい、カロリーオーバーに繋がりやすくなります。

運動直後で言えば運動によって失ったエネルギーを早急に摂り入れたい場合に白米のおにぎりというのは非常に優秀な食べ物です。
持ち運びやすいですし、ゆかりや梅干し等を混ぜれば真夏でも数時間は食べられる状態を保っていられるでしょう。

このように、低GI食品が善で高GI食品が悪という関係性ではありません。
どちらにも良い点があり、どちらかに偏ると栄養バランスを崩すことになります。
まず大切なことはバランス良く満遍なく色々な食材を食べることと、食べ方や調理方法の工夫をしていきましょう。

低GIを日々の食生活に取り入れるコツ

では最後に日々の食生活でどう意識していけばいいのかをお伝えします。

置き換え

白米→玄米、雑穀米に変える

玄米を炊く場合は白米よりも水に浸けておく時間を長くしないといけなかったり、白米よりもパサパサした食感に感じる方も多いのも事実です。
浸ける時間に関しては前もって浸けておくというくらいしか工夫のしようがありませんが、パサパサ感が嫌な方は白米と混ぜて炊きましょう。
もし3合炊くなら、最初は白米2合、玄米1合にする。慣れてきたら白米1合、玄米2にする、など。
問題ない方は玄米のみでも勿論構いません。
ただ玄米は白米に比べて消化に時間がかかったり、人によっては胃腸への負担もあります。
これも白米が悪、玄米が善と言っているわけではありませんので、ご自身の身体に合う配合を見つけてください。

雑穀米を白米に混ぜるだけでも変わってきます。
雑穀それぞれの栄養素を摂れるので、玄米に切り替えたくない、雑穀の栄養素を摂りたい方にはオススメです。

うどんがお好きな方はたまには蕎麦に置き換えましょう。
蕎麦はビタミンB群、ルチン、食物繊維、ミネラルが豊富です。
特にルチンは血管の健康状態を維持してくれる非常に優秀な栄養素です。

間食の内容を考える

おやつを食べたい方はドーナツやケーキ、アイスなどのハイカロリーを代表とするようなおやつではなく、低GI食品であるナッツ類、ヨーグルト、チーズなどをオススメします。

ナッツ類は無塩、ヨーグルトは無糖にしましょう。
無糖ヨーグルトがどうしても苦手な方はハチミツを入れると良いです。
若干GI値は高めではあるものの、多量に入れるわけではないのと、ミネラルやポリフェノールが含まれているので砂糖を入れるよりもかなりベターなチョイスになります。
高血圧の方はチーズを選ばないよう気をつけましょう。

食べる順番を工夫する

基本的には食べ物が胃の中に入った順に消化・吸収が始まるので、低GI食品を先に食べることで血糖値の急上昇を避けられます。
野菜、海藻、きのこ類→タンパク質、脂質→炭水化物という順番が理想的です。

食物繊維は胃の中で食物をゲル状にしてくれるので、糖や脂質の吸収を緩やかにしてくれます。
特に水溶性食物繊維であるわかめ、こんぶ、オクラ、ゴボウなどはその作用が大きいと言われています。

タンパク質は消化に時間がかかるので、糖の吸収をさらにゆっくりにしてくれます。
また、満腹感も得やすいので、食べ過ぎを回避できるのもメリットです。

最後にご飯やパンを食べると血糖値の急上昇を避けることに繋がります。

善悪だけで片付けないようにしよう

以上が低GI食品に関係することです。

低GI食品は元々は血糖値の乱高下を防ぐために注目された食品です。
血糖値の乱高下は良いことは1つもなく、繰り返されると重篤な疾患に繋がりかねません。
それを避けるためにも低GI食品を活用することは非常に有効なのですが、高GI食品にも必要な栄養素がたくさんあります。
低GI食品が善、高GI食品が悪というわけではなく、それぞれに特色があるというだけです。

食事は「これだけ食べていれば万事大丈夫」というわけにはいきません。
満遍なく色々な食材を使うようにし、栄養のバランスを考えつつ、食事を楽しみましょう。

著者プロフィール

今野 弘章
今野 弘章
自身の元競泳選手の経験や、「アスリートは体の痛いところを治せば良いわけではない」という考えから、

競技中(日常生活)の痛みの改善
「この部位に力を入れられない」といった身体の悩みの改善
通常時、痛み時のトレーニング
日頃のメンテナンス

など、より良いパフォーマンスにつなげるための、治療、指導を行っております。

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