筋トレをしても効果が薄い?オンラインでトレーニング指導を受ける際の注意点

高輪で鍼灸治療院を開いている今野です。

自身が元競泳選手ということもあり、アスリート専門の治療院となっております。

一般的な治療院との違いは、痛みを治すことや硬い部位を緩めるだけではなく、「特定の部位に力が入っていない」ことや「可動域が狭い」あるいは「自覚していない骨格の歪みや筋力不足」などを改善してパフォーマンスアップに繋げることをゴールにしている点です。

今野鍼灸治療院では治療のその先を常にイメージしながら、アスリートの自己実現をサポートしていきます。

2020年は新型コロナウィルスの年だったと言っていいほど、そのせいで世の中が激変しました。

自宅で自粛する時間が増え、その分

  • トレーナーの方からオンラインで指導をしてもらう
  • Youtubeを見ながら自分でトレーニングを行う

といった、オンラインでの筋トレ需要が増しました。

僕の院でも増え、それまでは筋トレをしてこなかった人も始めるようになりました。

まだコロナ禍は続きそうなので、オンラインでの筋トレを続ける方も多いことでしょう。

そこで今回はオンラインで行う筋トレの注意点を詳しく解説していきます。

オンライン筋トレの壁

筋トレにおいて

  1. 正しいフォームで
  2. 鍛えている筋肉を意識しながら

行うことがとても重要です。
正しいフォームで行えていないと怪我に繋がるリスクが上がりますし、鍛えている筋肉への負荷が甘くなります。

ここでネックになるのがオンライン特有のカメラの位置と画面になります。

僕は患者さまとお互いノートパソコンを使って筋トレ指導を行っています。
場合によってはお互いの部屋の広さや形によりカメラ(パソコン)を置く位置が限られてしまうこともあり、それによりこちらが見たい角度や部位、動きが見られない事もあります。

そのため、僕が見本となる動きを行っても伝わりにくいこともありますし、患者さまの動きを画面越しに正確に見ることは限界があります。

対面で筋トレを行う場合は意識して欲しい筋肉を口頭で伝え、場合によっては手で触って伝えると相手は瞬時に理解できます。

しかし、オンラインだと口頭に加えて画面越しに自分の身体を指す程度でしか伝えられません。

鍛えている筋肉への意識が無い、甘いとその分筋トレの効果が下がります。
せっかくつらい思いをして筋トレをしているのにも関わらず、実は充分な効果を得られていない場合があるということになります。

さらにYouTubeなどで動画を再生しながらの筋トレだと、トレーナーに

  • 「この動きは正確なのか?」
  • 「この筋トレで意識すべきはここであっているのか?」

という疑問を投げることもできなくなってしまいます。

その結果、以下のような対面時には当たり前に行えていたことが、オンラインでは難しくなります。

動きの些細な違いに気づけず、効率的な筋トレにならない

以下の写真は対面で行っていた時期の僕の患者さまの写真です。

よつんばいになって右足を動かす筋トレを行っていますが、左右の写真を比べると左の写真に対して右の写真は体幹部が左方向にずれているのがわかります(腰が左に曲がってしまっている)。

このように身体が逃げていることで右足への負荷が減ってしまい、効果が薄くなってしまいます。

これは対面で実施していて真後ろから見ていたからこそ気づくものですが、斜めからのカメラだったら間違いなく気づけません。
また、実際のずれ幅は1~2cmという僅かなずれのため、本人自身も外部から見てもらうことでしか気づくことが出来ません。

こういったご本人様が気づかないフォームの乱れをトレーナーは全ての動きに対して目を光らせています。

いくら熟練したトレーナーでもカメラの角度次第ではこれを見抜くことは現実的には厳しいと思いますし、ましてや動画配信を再生しながらご自身だけで行っている場合は全く気づけないまま行っている可能性がある、ということです。

内容が正しく伝わらない

オンラインでトレーナーが伝えたにせよ、動画配信で一方通行的に伝えたにせよ、受け手は間違えて理解してしまったり、間違えて動きてしまうケースがよくあります。

それには、大きくわけるとふたつの理由が挙げられます。

  1. ご自身の動きを客観的に見れないことで間違えている
    ご自身の全身が映るような鏡がご自宅にあるとは限りませんので、なかなか自分ひとりで動きを客観的に見て正確に把握するというのは難しいものがあります。
  2. ご自身が動かしやすいように動いてしまっている
    筋トレ初心者の方ほど起こりうる傾向で、似たような動きをご自身が動かしやすいように、意識が向きやすい筋肉を使って動かしてしまいます。

具体例1:オンラインでのダンベルロウ

ダンベルロウは背中と上腕三頭筋(腕の後ろ側)を使って肘を上方(天井方向)に引き上げます。

ただそれまでそれらの筋肉を意識したことがない場合は意識が向きやすい、よく使う筋肉である上腕二頭筋(腕の前側)や胸筋を使って肘を上げてました。

カメラの位置の兼ね合いで画面越しにハッキリと僕はわからなかったのですが、どうもなにかおかしいと感じ、ご主人様(ご夫婦でひとりずつオンラインで筋トレを指導、ご主人様の方が経験豊富)にもフォームを見て確認してもらって気付くことができました。

正しいダンベルロウは以下のように行います。

Step1

Step2

Step3

この動きを伝えて画面で見せて口頭で伝えても僕の患者さまは最初以下のように間違えて動かしていました。

Step1

Step2

Step3

具体例2:動画配信でのお尻上げ

違う患者さまは動画配信を見ながらトレーニングを行っていたけど、ご自身の中でどうも負荷が弱いし効果を感じないということで僕に相談が来ました。

床に仰向けで寝て両膝を立てて、お尻の上げ下げを行うトレーニングで、臀部やハムストリングス(裏もも)を鍛えるトレーニングです。

特に女性ということもあったかもしれませんが、女の子座りの延長のような感覚で行っていたのかもしれませんし、本来鍛えるべきハムストリングス(裏もも)をそれまでに意識して使ったことがなければ言葉で「裏ももを意識して」と言われてもすぐに出来るとは限りません。

動画配信でどのように説明していたか正確にはわかりかねますが、仮に「膝を90度に曲げて」と伝えていたとしても、鏡でご自身の膝の角度を見ない限りはご本人様としては90度に曲げているつもりという可能性が充分にあります。

正しくは以下のように動きます。

患者さまはこのように間違えて動かしていました。

オンライン筋トレを質の高い筋トレに

オンラインはあくまでもオンラインであり、対面式の筋トレ指導と全く同じというわけにはいきません。

しかしながらコロナ禍においては皆がなるべく外出や人との接触を避ける毎日を過ごすようにしていますので、仕方ない部分もあります。

こういったオンラインでの筋トレの注意点を知らずに行うのと、注意点を理解した上で可能な限り注意点を気にしつつ期間限定と割り切って行うのとでは結果が変わってきます。

今回挙げた注意点を理解しつつ、出来るだけ質の高い筋トレになるよう今後も頑張っていきましょう。

著者プロフィール

今野 弘章
今野 弘章
自身の元競泳選手の経験や、「アスリートは体の痛いところを治せば良いわけではない」という考えから、

競技中(日常生活)の痛みの改善
「この部位に力を入れられない」といった身体の悩みの改善
通常時、痛み時のトレーニング
日頃のメンテナンス

など、より良いパフォーマンスにつなげるための、治療、指導を行っております。

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