セルフケアの限界と治療院で治療を受ける意味

高輪で鍼灸治療院を開いている今野です。

自身が元競泳選手ということもあり、アスリート専門の治療院となっております。

一般的な治療院との違いは、痛みを治すことや硬い部位を緩めるだけではなく、「特定の部位に力が入っていない」ことや「可動域が狭い」あるいは「自覚していない骨格の歪みや筋力不足」などを改善してパフォーマンスアップに繋げることをゴールにしている点です。

今野鍼灸治療院では治療のその先を常にイメージしながら、アスリートの自己実現をサポートしていきます。

日常的にトレーニングを積んでいるプロ・アマチュアアスリートの皆様はセルフケアを行っていますか?

痛みや違和感といった症状が出ないようにするためにも、さらなる質の高いトレーニングを積むためにもセルフケアをして身体を整えておくのは大事なことです。

しかしながら、トレーニングの頻度や強度によってはセルフケアでは賄えない身体になっていることが多いですし、その症状を作っている原因がどこにあるのか自分で見つけるのは現実的には難しいと思います。

そこで今回はセルフケアと治療院のケアについて実例を交えて解説していきたいと思います。

セルフケアの限界1:身体を客観的にみる必要性

まずそもそも僕はセルフケアには限界があると思っています。

例えば患者様とのやり取りの中で、

  • 「ここの筋肉のセルフケアをしていますか?」と聞くと、「いや~そこは自覚がなかったのでサラッとしかしていませんでした」
  • 「ここ押すと痛いですか?」と聞けば、「痛い!硬いですね!なんでそこが?全然気づいてませんでした」

ということが往々にしてあります。

これは、アスリートが重点的にセルフケアをする箇所が

  • トレーニング中に疲労が溜まっていると自覚する部位
  • 痛みや違和感のある部位

を重点的に行っていることがほとんどだということです。
それ以外の箇所はケアをしない。ケアをしても少しだけということを表しています。

症状に対する原因

上記のような

  • トレーニング中に疲労が溜まっていると自覚する部位
  • 痛みや違和感のある部位

に関しては、以下の3パターンがあります。

直接的なパターン

直接その筋肉や部位を利用しているために疲労や痛み、違和感などが出る場合です。
例えるなら筋肉痛がわかりやすいと思います。

間接的なパターン

別のどこかの筋肉が弱い、硬い、うまく使えていないために、代償的に症状の筋肉に負担がきて症状として出ている場合です。
例えばランナーでハムが弱いから下腿三頭筋(ふくらはぎ)に負担が来て膝や足首、かかとに症状が出るといった具合です。

混在しているパターン

上記の直接的パターンと、関節的パターンの両方が混在している場合です。
例えば自転車をこいで太ももの前が筋肉痛になる直接的なパターンと、腹直筋も硬いことで太ももの前をそもそも引っ張ってしまっている間接的なパターンの両方が存在しているパターンです。

これらを踏まえ、客観的に自分の身体をみて、「症状に対する原因の筋肉を判断してケアをすることが出来るかどうか?」と聞かれたらほとんどのアスリートにはむずかしいかと思います。

そのために、僕達の様な治療院での治療が必要となります。

セルフケアの限界2:適切なセルフケアは難しい。

もうひとつ僕がセルフケアに限界があると思っている理由は、「適切なセルフケアを行えるのかどうか?」です。

最も身近で代表的なセルフケアはストレッチになると思いますが、適切なストレッチを全アスリートは行えているのでしょうか?

ほとんどのアスリートは幼少時や部活でやっていたストレッチを基に我流で行っていることと思います。

疲労感が強い筋肉ほど、行うストレッチに関しては、「強ければ強いほど良い」、「痛いほどストレッチすればより回復する」と思っている人もいらっしゃいます。

しかしながら理想的なストレッチは

  • トレーニング直後か入浴直後の身体が暖まっている時限定
  • 痛いレベルまでいかずに気持ちいい強さで
  • 60~90秒間

という上記全ての条件が揃って初めて効果が現れます。

この条件を守ってストレッチを、症状を作っている原因となる筋肉に対して行い、しかもトレーニングをした日だけではなく、出来るだけ毎日行う。

これが理想とする「セルフケア」となるわけですが、ほとんどのアスリートは実現出来ません。
それは上記でも書いたとおり、自覚していない部位が原因となっていることが多いからです。

セルフケアと施術の実例と効果

では実際に原因となる筋肉と症状が出ている部位の関係を実例を出してみていきましょう。

ケース1:女性ランナー、かかとが痛む。

セルフケア:ふくらはぎをマッサージポールでマッサージしたが、1割変わったかどうかという結果。
施術:内転筋、内側のハム、土踏まず(母指外転筋)を緩めることで痛みがゼロになった。

ケース2:男性トライアスリート、外側のふくらはぎが痛む。

セルフケア:ふくらはぎを自分でマッサージしたが変わらず。
施術:足底の硬い部分を緩めることで7割減、さらにハムを緩めて痛みがゼロになった。

ケース3:男性トライアスリート、太ももの前が痛む。

セルフケア:太ももの前のストレッチをしたが変わらず。
施術:大胸筋、腹直筋、前脛骨筋を緩めることで痛みがほぼゼロになった。

ケース4:女性スイマー、肩の前側が痛む。

セルフケア:肩全体のストレッチをしたら変わらず。
施術:上腕二頭筋、大胸筋、肩甲下筋を緩めることで痛みがゼロになった。

ケース5:女性バレーボール選手、腰痛。

セルフケア:腰とお尻のストレッチをすると2~3割減るが、翌日には痛みが戻る。
施術:ハム、膝の裏を緩めて痛みが半減。背中2箇所を緩めて痛みがゼロになった。

上記は全て実際に来院して下さっている患者様の症状、セルフケア、僕の施術内容です。

記載の通り、セルフケアでは症状が変わらなかったり、減っても半減までいっていません。
そして僕の施術はほとんどが症状とは別の部位にアプローチすることで痛みが減ったり無くなっています。

定期的なケアが理想

「痛みや違和感が出てしまったけど、数日でいつの間にか治った」というのは振り返ってみての結果論です。

今日あなたが抱えている症状は明日には悪化し、明後日はもっと悪化してトレーニングの質を落としたり休まなくてはならなくなるかもしれません。

日々のセルフケアを行うことは大事なことですが、それでも症状が出てしまった場合は症状が軽いうちに治療院に相談すべきです。

そのため、トレーニングの頻度や強度にもよりますが、例えば週に1度、もしくは隔週に1度、決まった曜日に症状がなくても必ず治療院へ行くようなスケジュールを組むことをおすすめします。

仮に症状がなかったとしても普段の疲労は確実に蓄積してますので、それを除去することで翌日以降のトレーニングの質を上げられることにも繋がります。

著者プロフィール

今野 弘章
今野 弘章
自身の元競泳選手の経験や、「アスリートは体の痛いところを治せば良いわけではない」という考えから、

競技中(日常生活)の痛みの改善
「この部位に力を入れられない」といった身体の悩みの改善
通常時、痛み時のトレーニング
日頃のメンテナンス

など、より良いパフォーマンスにつなげるための、治療、指導を行っております。

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