恐ろしい病、糖尿病を防ぐために必要な運動習慣・食事習慣

高輪で鍼灸治療院を開いている今野です。

自身が元競泳選手ということもあり、アスリート専門の治療院となっております。

一般的な治療院との違いは、痛みを治すことや硬い部位を緩めるだけではなく、「特定の部位に力が入っていない」ことや「可動域が狭い」あるいは「自覚していない骨格の歪みや筋力不足」などを改善してパフォーマンスアップに繋げることをゴールにしている点です。

今野鍼灸治療院では治療のその先を常にイメージしながら、アスリートの自己実現をサポートしていきます。

先日いらした患者様から以下のようなご相談を受けました。

「健康診断を受け、その結果お医者様に『このままいくと糖尿病になるから運動をしてください』と言われたけど、なにをしたらいいのかわからない。」

学生時代に運動部だったとしても社会人になってから定期的に運動をしていないのであれば、なかなかご自身で「こんなことをやろう」と考えつくのは難しいことと思います。

運動部出身でないなら尚更難易度が高くなります。

今回は上記の患者様にお伝えしたことを含めて、糖尿病の怖さと対策について書いていきたいと思います。

糖尿病とは

糖尿病とは漢字の通り、尿に糖がある病気です。

食事をすると血糖値が上がります。
上がった血糖値を下げてくれるのが、インスリン(膵臓から分泌される)です。

しかし、糖分を摂る量が多ければ多いほど膵臓も疲弊してしまい、インスリンの分泌量が下がります。
また、内臓脂肪が多い場合は内臓 、特に肝臓に糖が溜まってしまいます。

その場合には、インスリンの効果も落ちてしまい、「インスリン分泌量が足りない上に効かない」という状態になってしまいます。

その結果、血液中の糖分が余ってしまい、血糖値(血液中の糖分の量)が160〜180mg/dlを超え、体内では糖分を使うことも再吸収もされなくなるので、尿として体外へ出すしかなくなります。(糖分が尿に入っている状態)

検査としては血糖値とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)という血液検査がまず挙げられます。

検査における、正常値は、

血糖値:80~90mg/dl(空腹時血糖値)
HbA1c:5.6%未満

となります。

日本の糖尿病の患者数は治療が必要な患者数が1000万人、予備軍が1000万人、あわせて2000万人と言われています。
https://dm-net.co.jp/calendar/chousa/population.php

2017年にガンだと診断された患者数は約97万人のようなので、単純に数だけを比べても圧倒的に多いことになります。
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html

糖尿病を放っておくと

糖尿病自体にはさほど自覚症状が少ないそうです。

それ故に健康診断を受けないまま気付かない人や、困っていないから対処しないで放っておく人が多く、その結果重症化しやすいのが怖いところです。

重症化した場合は以下のような病気に繋がっていきます。

糖尿病性腎症

腎臓には糸球体という血液を濾過してくれる部分がありますが、糖尿病になると糸球体の細小血管がダメージを負い、血液を濾過してくれなくなります。
つまり「血液の濾過を一番の仕事とする腎臓が機能しなくなる」ということです。

血液が濾過されないということは、老廃物を体外に出せませんのでその老廃物が体内に溜まって毒素となり、尿毒症になってしまいます。

それを防ぐために「人工透析」という治療をし、人工的に血液を濾過します。
これは週に3日、1回4時間かかります。

実際に僕が透析患者様に聞いた話だと、透析を行った後は本当に何もやる気にならなくて、ただ寝っ転がっているだけでTVはつけてるけど見ていない、というお話でした。

神経障害

上記で「糸球体の細小血管がダメージを負い」とありますが、何も腎臓の中の血管だけが特別にダメージを負うわけではありません。

基本的には全身の血管系がダメージを負いますので、その結果、神経にも血流が届かなくなり働きが悪くなります。
特に足に顕著で、痛みや触られた感覚がなくなる/減るそうです。

痛みというのは人間にとって非常に重要な感覚です。

痛みがないということは傷がついても気付かないということです。
足のどこかに傷がついてそれに気付かない。
しかも全身の血流が悪いということは、その分切り傷の治りも悪いです。

その結果、壊疽といって周辺組織が腐ってきてます。

糖尿病網膜症

目の毛細血管もダメージを負いますので、血管が破れ、目が必要とする栄養や酸素が行き届かなくなるので失明します。

他に症状があまりなかったりもしますので、ある日突然失明することもあるそうです。

心筋梗塞・脳梗塞

血管系にダメージを与えるということは、血管が詰まって起こる代表的な病気である心筋梗塞や脳梗塞も発症するリスクが高くなります。

その他

糖尿病患者のうち、毎年1万人が足を切断し、1万人が糖尿病に関連して死亡しているそうです。

元々アジア人はインスリン分泌が低いという傾向も背景にはあるようです。

このように、糖尿病自体にはさほど深刻な病態、自覚症状がないからといって放っておくとかなり危険な病気へと繋がっていくわけです。

こういった話になった時に僕が例え話でよく使うのは虫歯です。

おそらくほとんどの人が毎日のように歯磨きをしていると思いますが、それでも時々虫歯になってしまうと思います。

虫歯を放っておくと神経を抜いたり、抜歯をすることに繋がります。
それは皆さんも知っているので、多くの人が早めに虫歯の治療を受けると思います。

これは体でも全く同じで、出来れば毎日体のメンテナンスをするべきなんです。

その内容は人によってはストレッチだけでいいかもしれませんし、週に何回か有酸素運動をする必要があるのかもしれません。

筋肉に痛みがあるなら治療院に通うべきですし、血液検査で異常があるなら医師と相談し、対処しなければいけません。

「忙しい」と言わず、血液検査を基準に早め早めにご自身の体と向き合いませんか?

ガンでさえ早期発見すれば治る病気と言われています。
糖尿病も同じです。

早めに対処すれば回避できる病なんです。

自分で出来る対策

対策は食生活の見直しと運動です。

食生活の見直し

既に血液検査で注意を受けた方は食生活でいうと糖分の摂取に気をつけなければいけません。

糖分を多く含んでいる食材は「白米」、「食パン」、「麺類」です。
俗に言う炭水化物です。

では炭水化物を食べなきゃいいのか?というと、そういうわけではありません。

最近よく効かれるのが糖質制限ダイエットですが、「糖質を摂らない」という、間違えた捉え方をしている人がいるそうです。

全く摂らないというのも危険です。
なぜなら脳は糖分(ブドウ糖)しか栄養素として使えないからです。

厚生労働省としては一日の最低必要量として100g/日としています。
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042632.pdf

何事も「過ぎ」は良くありませんので、食べすぎ、食べなさ過ぎも良くないということです。

医師からの注意で留まっている方はまず以下のように見直して、経過の様子を見てみましょう。

  • 白米→玄米、麦めしにする。
  • 食パン→せめて胚芽米など、真っ白ではないパンに変える。
  • 麺類→麺の量を少なくしてなるべく野菜を多くする。
  • 昼ごはん→外食やコンビニではなくお弁当にする。
  • コーヒーや紅茶に砂糖を入れる→減らすか入れない工夫をする。
  • スイーツ→減らす工夫をする。せめて生クリームの多い洋菓子ではなく和菓子にする。

運動習慣の見直し

運動を行うことで、

  • 運動により血液中の糖分を使用することで血糖値を下げる
  • 肥満を改善することで内臓脂肪を改善、それがインスリンの効果を助ける
  • 血液循環が増すので、血管の老化を防ぐ

という変化が生まれます。

運動の中でも、有酸素運動(ジョギングや早めのウォーキング、水泳など)は血液循環に直接的に関わってきます。
筋力トレーニングは筋肉を増やすことで基礎代謝が上がりますので、同じ摂取カロリーだったとしても痩せやすくなっていきます。

僕が冒頭の患者様に提供しているのは、45秒のトレーニング+15秒の休憩×30種類の様々な筋力トレーニング=30分間の運動です。

例えば腕立て・腹筋・背筋・スクワットを30回ずつ、3セット、みたいなトレーニングだと飽きやすい人はすぐに飽きてしまい、長続きしません。
そのため、なるべく30種類の筋トレも毎回同じではなく、内容を変えるようにしています。

また、筋力トレーニングは慣れていない人はトレーナーとフォームをちゃんと確認しながら行わないと、トレーニングに割いている時間ほど鍛えたい部位を鍛えられていないということにも繋がってしまいます。

そのため、マンツーマンでしっかりとフォームを確認しながら筋力トレーニングを行い、週末は奥様と一緒に早めのウォーキングを1時間ほど行うようにしてもらっています。

また、専門家を交えた運動以外にも、自宅マンション、駅の乗り換え、オフィスでは階段を使うというのも良いと思います。

僕の患者様で80歳代の女性はご自宅の玄関扉から郵便受けまでの階段を移動する時はわざと2往復するという方がいらっしゃいます。

あとは良く聞く話ですが、目的地の一駅前で降りて早歩きで歩くというのもいい運動になります。

キッカケと行動すること

好きなものを食べたいだけ食べて、運動は面倒くさいからやらない。
それで一生を健康に過ごせるならそれが一番いいと思いますが、残念ながらそのような類まれな人は極々一部だと思います。

ご自身の体と向き合って真剣に体のことを考えて努力をする。

運動を始めるのが早ければ早いだけ習慣化させて慣れることができますし、体も変化しやすいと思います。

遅ければ遅いだけ努力するのが億劫になってしまい、長続きしない可能性が増します。

血液検査で注意を受けた人は是非ご自身の体と向き合うキッカケにし、今すぐ運動を定期的にするようにしましょう。

因みに僕個人が再び水泳をし始めたのは35歳くらいの時。

整骨院を辞めて転職し、長時間労働から8時間労働に切り替えたことで少し時間と体力に余裕が生まれたタイミングで、トライアスロンをやっている大学時代から通っている歯医者さんに水泳の練習に誘われたことがキッカケでした。

今でも続いてますが、続けていて本当に良かったと思っています。

また、「運動不足が引き起こす身体の変化やリスクと運動の始め方」という記事も書いてますので、そちらも参考にしてみてください。
https://konno-chiryo.com/lack-of-exercise/

著者プロフィール

今野 弘章
今野 弘章
自身の元競泳選手の経験や、「アスリートは体の痛いところを治せば良いわけではない」という考えから、

競技中(日常生活)の痛みの改善
「この部位に力を入れられない」といった身体の悩みの改善
通常時、痛み時のトレーニング
日頃のメンテナンス

など、より良いパフォーマンスにつなげるための、治療、指導を行っております。

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