筋肉の痛みが発生するメカニズムと、治療院に行っても症状が改善しない原因

高輪で鍼灸治療院を開いている今野です。

自身が元競泳選手ということもあり、アスリート専門の治療院となっております。

一般的な治療院との違いは、痛みを治すことや硬い部位を緩めるだけではなく、「特定の部位に力が入っていない」ことや「可動域が狭い」あるいは「自覚していない骨格の歪みや筋力不足」などを改善してパフォーマンスアップに繋げることをゴールにしている点です。

今野鍼灸治療院では治療のその先を常にイメージしながら、アスリートの自己実現をサポートしていきます。

当院に通院して下さる患者さまの中には、

  • 「他院で改善したけど少ししか変わらなかった」
  • 「その日は良くなったけど、翌日から戻ってしまった」
  • 「改善しなかった」

という理由から施術してみて欲しいという方がいらっしゃいます。

なぜ改善しなかったのか、その理由のひとつには間接的な原因に対して施術をしていないことが挙げられます。

そこで、痛みとはどのように発生するのか、間接的な原因とはなんなのかを詳しく解説していきます。

なお、今回取り上げる痛みとは、筋肉や筋膜、腱が原因の痛みになります。
例えば慢性的な腰痛、運動時の肩・膝の痛み、股関節の痛み等です。
骨の異常など整形外科的な症状は除外しますので、その点はご留意ください。

痛みが発生するメカニズム

痛みを発症させている部位に原因がないことが多々あります。

例えば、腰痛。
骨に異常がなく、筋肉や筋膜、腱が原因となる慢性的な腰痛を訴えている場合、その原因が腰に潜んでいるということは多くありません。
腰痛の場合、その原因というのは多岐にわたります。以下のイラストを見てみてください。

矢印はそれぞれ、硬い筋肉が腰を引っ張っているという意味合いです。
その硬い筋肉とは首、ハム、ふくらはぎを指しています。
これらの筋肉は腰と同じ筋膜に属するので、筋膜を介して腰を引っ張ってしまうのです。
引っ張られた状態で身体を動かすので、腰が耐えられるレベルを超えてしまい、引っ張られすぎて痛みを覚えるわけです。

輪ゴムをイメージしてみましょう。
たわんだ状態から引っ張るのは簡単です。
これが痛みのない筋肉の状態です。
輪ゴムを少し引っ張って、ピンとした状態にします。
これが他の筋肉が硬いことで筋膜を介して腰を引っ張っている状態です。
そこからさらに輪ゴムを引っ張ると、引っ張れない、若しくはちぎれてしまいます。
これが腰が痛いということです。

原因となる筋肉

原因となる筋肉には、

  • 直接的な原因となる筋肉
  • 間接的な原因となる筋肉

の2種類があります。

直接的な原因となる筋肉

直接的な原因となる筋肉というのは、「痛みを訴えている部位と隣り合っている筋肉」のことを僕は形容しています。

具体的には、以下のような組み合わせとなります。

  • 腰が痛い→臀部が硬い
  • 腰が痛い→背部が硬い
  • 膝(前側)が痛い→前ももが硬い
  • 膝(後ろ側)が痛い→裏ももが硬い
  • 肩(前面)が痛い→胸が硬い
  • 足首(前面)が硬い→スネが硬い

これらは全て痛みを感じている部位と近い部位が硬いので、イメージしやすいでしょう。
多くの整骨院では少なくともこういった直接的な部位は施術するはずです。

間接的な原因となる筋肉

次に間接的な原因となる筋肉です。
これは「患部とは離れている筋肉」であり、多くの場合この離れている筋肉こそが本当の原因だったりします。
それ故に患者さまご自身としても気付かなかったり、短い施術時間である整骨院では見つけられないことも多いようです。
実際患者さまからは「そんなところ施術されたことない。けど変わったのがわかる」という感想を頂きます。

こちらも以下に組み合わせを挙げてみましょう。

  • 腰が痛い→首が硬い
  • 腰が痛い→アキレス腱が硬い
  • 膝(前側)が痛い→腹筋が硬い
  • 首が痛い→ふくらはぎが硬い
  • 股関節(前側)が痛い→反対側の胸が硬い

これらは簡略化させた組み合わせで、実際は原因となる筋肉はひとつではないことがほとんどです。
ただ患部と離れた部位というのは伝わるでしょう。

「直接的な原因となる筋肉」を施術すべきではない場合もある

時折「直接的な原因となる筋肉」は硬くなく、「間接的な原因となる筋肉」が引っ張っている状態の場合があります。
その場合は「直接的な原因となる筋肉」を押すと「嫌な痛み」を覚えることが多いです。

そういった痛みを覚える場合はそこはあまりにも強く引っ張られている状態で、まずは引っ張っている筋肉を緩めないといけません。
その上で「直接的な原因となる筋肉」が硬ければ施術をしますし、硬くなければ施術をする必要はないです。
硬いか硬くないかは、僕の場合は筋肉を押してみて確認します。
また、その時に一旦痛みを覚えていた動きをしてみてもらって確認します。

治療院に行っても症状が改善しない原因

冒頭でもお話したように、当院に通院して下さる患者さまの中には、

  • 「他院で改善したけど少ししか変わらなかった」
  • 「その日は良くなったけど、翌日から戻ってしまった」
  • 「改善しなかった」

という理由から施術してみて欲しいという方がいらっしゃいます。

その多くの場合は、「直接的な原因となる筋肉」だけに施術をし、「間接的な原因となる筋肉」に施術を行えていないことによるものです。
しかし、施術者や医療従事者でなければ筋肉全体、筋膜のことを充分に理解している方は多くないので、実際にご自身の症状とそれに対する施術が直接的な原因となる筋肉だけを施術してもらったのか、間接的な原因となる筋肉も含めて施術してもらったのかよくわからないということは往々にしてあるかと思われます。

その場合は施術してからどのくらいの時間が経って症状が戻り始めたのかを確認すると良いです。

施術してから数日で戻り始めて、1週間以内に施術前の状態に戻る

施術してから数日で戻り始めて、1週間以内に施術前の状態に戻ってしまった場合は、本当の原因となっている筋肉を攻めきれていないからこそ戻ってしまうと思った方がいいです。
通院している整骨院や治療院を気に入っているなら念の為もう2~3回施術を受けてみても良いでしょう。
それでも同じように1週間くらいで戻ってしまうようなら、本当の原因となっている筋肉にアプローチできていない可能性が高いので、別の治療院を探してみることをオススメします。

患部だけに鍼を打った場合

鍼を身体に打つと、中枢神経内に内因性オピオイドというホルモンが放出されることがわかっています。
内因性オピオイドの役割はモルヒネのように痛みを抑え、痛みを脳に伝える神経経路をブロックすることにあります。
患部に鍼を刺すことでその筋肉が緩むこともありますし、内因性オピオイドのおかげで痛みを感じにくくなるので、施術直後は症状が改善したと感じることでしょう。

しかしながら、本当の原因を放置してしまっている場合はやはり症状が戻りやすいです。
その場合も1週間を目処に、症状が戻りきってしまうようなら別の鍼灸院を探してみてください。

改善しない施術には理由がある

以上が直接的な原因と間接的な原因についてです。
なるべく簡略化して説明したつもりですが、実際には身体というのはもっと複雑化して間接的な原因となっている筋肉が1つや2つではなく、もっと多いことがほとんどなので、見つけ出すのは簡単ではありません。
ただそれが施術者の仕事であり、それこそ施術者にとって仕事の醍醐味でもあると僕は個人的に感じています。
残念ながら症状が改善しきらない場合、症状が戻ってしまう場合は通院している整骨院や治療院、鍼灸院では本当の原因を見つけられていない可能性がありますので、別の治療院を探してみてください。

著者プロフィール

今野 弘章
今野 弘章
自身の元競泳選手の経験や、「アスリートは体の痛いところを治せば良いわけではない」という考えから、

競技中(日常生活)の痛みの改善
「この部位に力を入れられない」といった身体の悩みの改善
通常時、痛み時のトレーニング
日頃のメンテナンス

など、より良いパフォーマンスにつなげるための、治療、指導を行っております。

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