猫背の原因とアスリートに及ぼす影響、猫背の対策

高輪で鍼灸治療院を開いている今野です。

自身が元競泳選手ということもあり、アスリート専門の治療院となっております。

一般的な治療院との違いは、痛みを治すことや硬い部位を緩めるだけではなく、「特定の部位に力が入っていない」ことや「可動域が狭い」あるいは「自覚していない骨格の歪みや筋力不足」などを改善してパフォーマンスアップに繋げることをゴールにしている点です。

今野鍼灸治療院では治療のその先を常にイメージしながら、アスリートの自己実現をサポートしていきます。

日本人の7〜9割が猫背と言われています。
個人的な感覚値ではありますが、電車に乗っていても半数以上が猫背の様に見受けられます。

これは日本人が農耕民族時代に前傾姿勢をとりながら作業をすることが多かった背景もあり、遺伝的に前傾姿勢になりやすい民族であることがひとつ原因として挙げられます。
それに加えてデスクワークの多さ、パソコンやスマートフォン、タブレットの普及により猫背を加速させてしまいます。

今回は多くの方に見られる猫背が具体的にどうスポーツ選手やアスリート、趣味で運動を行っている人に影響を及ぼすのかを解説していきます。

猫背の原因

原因は様々挙げられますし、1つとは限りません。
例えば以下が挙げられます。

  • 運動不足、筋肉不足
  • 偏った鍛え方、筋肉の使い方
  • デスクワーク、長時間同じ姿勢をとること、悪い姿勢でいること

猫背とは、正しい姿勢を取れずに上半身が前傾になってしまうことを指します。
ではそれをキープできる筋力、筋力を維持するだけの運動を行っていれば長時間のデスクワークにも対応できるのかと言われれば、個人的には対応できるとは思えません。

それくらいデスクワークの姿勢、それを1日約8時間継続するというのは、身体に負担だということです。
加えて、掃除、料理、育児、抱っこなどの日常生活動作により身体への負担があります。

運動をしていたとしても、身体の前面の筋肉を使い過ぎていたり、背中側を鍛える以上に前面の筋肉を鍛えたりしていれば前傾姿勢になりやすいです。

猫背の影響。放置するとどうなるのか?

以下のような症状が挙げられます。
猫背の程度にもよるため、猫背だから全部が当てはまるわけではありません。
ただ、大なり小なりこういったことが症状として出やすく、また進行していきます。

  • 内臓の機能低下→栄養の吸収率が減る、睡眠中の回復力が低下
  • 自律神経の乱れ→冷え、便秘、イライラ、頭痛、血流低下、睡眠の質低下、日中の眠たさ
  • 代謝低下→太りやすくなる、筋肉が硬くなりやすい、むくみ、肌荒れ、脂肪が減りにくい
  • 高齢になった際に円背姿勢→圧迫骨折のリスクが増す、バランス能力低下、転倒のリスクが増す、変形性膝関節症のリスクが増す、膝や腰の痛み
  • 筋肉の症状→首こり、肩こり、腰痛、肩の痛み等
  • 酸素摂取量低下→練習やレースのパフォーマンス低下、運動中の頭痛
  • 四十肩・五十肩の発症リスクが増す→猫背の姿勢が肩関節への負担となるため
  • ヘルニアの発症リスクが増す
    →ヘルニアだからといって必ずしも症状が出るわけではないが、症状が出たら痺れや力が入りにくい症状が出る可能性が高い。腰椎椎間板ヘルニアが一般的に有名かもしれないけど、頚椎、胸椎もある。頚椎ヘルニアになると、手指の痺れが出ることがある。

これら全てが一度に症状として現れるわけではないものの、猫背ひとつとってもこれだけの可能性があるというのはなかなかぎょっとする話ではないでしょうか。

例えばロードバイクに乗るバイクの選手やトライアスリートなどは前傾姿勢になりつつ、前を見るので首に負担がきやすいです。
TTポジションなら尚更、前方確認の為に顔を上げる度に痺れる可能性があります。
また、ハンドルを握る手に力が入らないこともある得るので、ハンドル操作を誤るリスクが増し、危ないです。

猫背の対策と改善方法

猫背の対策としては

  • 自分でできる筋トレやセルフケア
  • 施術を受ける

が挙げられます。

しかし、猫背は自分行う、セルフケアや筋トレだけでどうにかできるレベルではないことがほとんどです。
しっかりと施術を受けて硬い部分を改善していかないことには、筋トレをしてもストレッチや体操をしても効果は半減というのが現実です。
また、一度に沢山の筋トレやストレッチ、体操、深呼吸などを始めても、慣れていない方は続けられないことも多いです。

そのため、真剣に改善したい方はパーソナルトレーナーや施術者にちゃんと相談しましょう。

自分でできる筋トレやセルフケア

ご自身で出来る筋トレとセルフケアの一部をご紹介します。
※猫背を改善するための極一部の筋トレと深呼吸であり、やるべきことはもっと沢山あります。
この2つだけを行って改善するわけではないのでご注意ください。

筋トレ

筋トレは腸腰筋を鍛える筋トレを例として挙げます。

仰向けで寝て、膝と股関節を直角にして足を浮かせます。
両腕は前へならえのように、天井方向にまっすぐ上げておきます。
腰を床に押し付けてキープします。

片足をゆっくりと床に近づけます。

床に着地させます。

この動作中ずっと膝は直角をキープしたままおろしていきましょう。

着地したら元の位置にゆっくり上げて戻し、反対の足をおろしていきます。
それを繰り返しましょう。

セルフケア

セルフケアは背中を丸めて深呼吸をします。

まずはよつんばいになります。
肩の真下に手のひらが、股関節の真下に膝がくるようにしてください。

顔を下に入れ込んでいきおへそを見るようにします。
同時に背中を天井方向に突き出すようにして、背中を丸めます。

その姿勢のまま深呼吸をします。
最大まで吸って、全ての息を出すように最大まで吐ききりましょう。
その際に背中の丸みはキープしたままで、動かないように注意してください。

実施時間

筋トレも深呼吸も、毎日やれるだけやった方が良いです。
上限はありませんが、この2つだけで計5分くらいが妥当です。

毎日少しずつ行うことが大事なので、まずはこの2つから始めましょう。

施術を受ける

施術を行う場合、僕は

  • 猫背を作ってしまっている硬い筋肉を緩めること
  • 背骨と肋骨の硬さを改善
  • 弱い筋肉、使えていない筋肉に刺激を入れてちゃんと使えるようにすること

これらを行うことが多いです。
もちろん一人ひとり身体は違う状態なので、細かいところは異なります。

今仮に何も対策をしていない猫背の患者さまがいらしたら、施術を含めた全体像としては以下のような割合で対策していくこととなります。

1割 筋トレ
1割 ストレッチ
8割 施術

何より施術の割合が高いというのは、猫背を自分でどうにかできるレベルではないことがほとんどだからです。

しっかりと施術を受けて硬い部分を改善していかないことには、筋トレをしてもストレッチや体操をしても効果は半減というのが現実です。
また、一度に沢山の筋トレやストレッチ、体操、深呼吸などを始めても、慣れていない方は続けられないことも多いです。

以上の理由から、まずは施術に比重を置く。
慣れてきたら徐々にセルフで行える対策を増やし、施術の割合(通院頻度)を減らしていく。
それでも日々の負担をゼロにはできないことから、ある程度の頻度で施術を受けるべきなので、目標とする割合としては以下のようになります。

4割 筋トレ
4割 ストレッチ
2割 施術

見るべきは今だけではなく未来の自分も

猫背というのはそれ単体で見たら今この瞬間は致命的な目立った自覚症状は少ないかもしれません。
社会人アスリートや趣味で運動をしている方々の中でデスクワークをしている方は首こりや肩こり程度であれば「そんなもんだよね」と思っている方も多いでしょう。

しかし、放置すると悪化してヘルニアになってしまう可能性もあります。
ヘルニアになってからだと症状も強いですし、トレーニングの強度やレースに確実に影響が出ます。
さらに、改善するまでに時間を要します。

是非今のうちに、早めに対処しておくことをオススメします。

著者プロフィール

今野 弘章
今野 弘章
自身の元競泳選手の経験や、「アスリートは体の痛いところを治せば良いわけではない」という考えから、

競技中(日常生活)の痛みの改善
「この部位に力を入れられない」といった身体の悩みの改善
通常時、痛み時のトレーニング
日頃のメンテナンス

など、より良いパフォーマンスにつなげるための、治療、指導を行っております。

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