ランナーが注意すべき足底筋膜炎

高輪で鍼灸治療院を開いている今野です。

自身が元競泳選手ということもあり、アスリート専門の治療院となっております。

一般的な治療院との違いは、痛みを治すことや硬い部位を緩めるだけではなく、「特定の部位に力が入っていない」ことや「可動域が狭い」あるいは「自覚していない骨格の歪みや筋力不足」などを改善してパフォーマンスアップに繋げることをゴールにしている点です。

今野鍼灸治療院では治療のその先を常にイメージしながら、アスリートの自己実現をサポートしていきます。

当院にはマラソンランナーやトライアスリートが多く来院されます。
その中には足底筋膜炎(足底腱膜炎ともいいます)で悩んでいる方も多いです。
漢字の通り、足底にある筋膜(腱膜)が炎症をしてしまうことで痛みが出るのが足底筋膜炎なのですが、症状が炎症までいってしまうとどうしても治りが悪いです。

そこで今回は足底筋膜炎にならないための予防策や注意点について詳しく解説していきます。

足底筋膜炎の症状

症状としては、足底(足の裏)が痛くなります。
痛みの度合いとしては、痛いけど走れるレベルから痛くて走れないレベルまで、様々です。

起床直後に床に足をついた時が一番痛かったり、運動し始めに痛みを感じることが多いです。
どちらも動き出してしばらくすると多少血流が良くなることで緩和されるのか、痛みが和らぐ傾向です。

こういった症状がある方はプロ選手であればパフォーマンスに直結しますし、趣味で運動をされている方は楽しくスポーツができないでしょうから、まずは早めに整形外科を受診して足底筋膜炎なのかどうか、骨には異常がないのかどうかを確認しましょう。

整形外科での治療や薬と同時並行して、治療院での施術を受けるようにしましょう。

原因とメカニズム

着地と蹴り出しにより、硬い足底の筋肉が何度も強引にストレッチされたことで筋繊維、腱に炎症が起きてしまうのが足底筋膜炎です。
正しく症状と向き合うためにも、以下をイメージいただき原因とメカニズムを理解しましょう。

筋膜の繋がりと筋肉の長さをイメージしよう

トレーニングによって筋肉が硬くなり、それをそのままにしてトレーニングを継続することで患部が炎症を起こしてしまいます。
足底の硬さだけではなく、筋膜を通して全身の筋肉も関わってきます。
筋膜というのはつま先から頭までの全身を複数の筋膜が覆っています。

その中でも足底と関係しているのはスーパーフィシャルバックラインという身体の後面を覆っている筋膜になります。
関係している主な筋肉を挙げると、腓腹筋(ふくらはぎ)、半腱様筋、半膜様筋、大腿二頭筋(うらもも)、脊柱起立筋(腰から背中)などです。
それらの筋肉が、多くの場合では複数が硬くなることで足底を引っ張ってしまいます。

イメージしやすいように次の図を見て下さい。

上の図が正常な状態の筋肉で、それぞれの長さを10とします。

次の図は大腿部の筋肉が硬くなった状態で、長さが8になっています。(筋肉は硬くなると短くなります)
筋肉が短くなったとしても、足の骨の長さは変わらないので、その帳尻をあわせるために膝から足首の筋肉が引き伸ばされて12になります。

実際の身体は筋肉の他に腱もありますし、靭帯や関節もあるので、ここまでシンプルではありません。
8や12というのも例えとしての数字で、実際にはここまで長さが変化することはありません。

炎症が起こる部位としては、引き伸ばされた側の筋肉や腱に炎症が起きることが多いです。

輪ゴムでイメージしてみよう

ここからさらに輪ゴムを連想してください。
正常な筋肉の状態を輪ゴムを伸ばしていない状態とし、硬くなった筋肉の状態は輪ゴムを限界まで引っ張った状態とします。

毎日何かしら走る動作が入ったトレーニングを行うと、何千歩、何万歩という着地する負担は特に足底、ふくらはぎに発生しますので、それらの筋肉が硬くなっていきます。
また、地面を蹴る動作の最後というのはつま先で地面を蹴りますので、その瞬間は足底が多少ストレッチされた状態です。
伸ばしていない輪ゴムを何千、何万回引っ張っても輪ゴムは耐えられるのが想像できます。
限界まで引っ張った輪ゴムをそこからさらに引っ張るというのは、「すぐ切れそう」という想像ができます。
つまり、

  • 硬い筋肉=限界まで引っ張った輪ゴム
  • 足底の炎症=輪ゴムをちぎってしまう

と言い換えるとより状態が理解しやすいかもしれません。

足底筋膜炎の予防策

なによりもケアが足りていないことで発生しますので、身体のケアを怠らないことです。
今どこの治療院に通っていないなら、これを読んだことを機会に足底筋膜炎になる前に通院することをおすすめします。
通っている治療院があるのに足底筋膜炎になってしまったのであれば、通院頻度を上げるか他の治療院も探してみましょう。

セルフケアとしては、トレーニング直後か、その日入浴した直後にストレッチをしましょう。
マッサージガンや筋膜リリースのアイテムでセルフケアをしましょう。

しかし、ストレッチに関しては間違ったやり方、間違った知識の方が多いです。
以下に詳しく解説しているのでそちらもあわせて読んでください。

ストレッチの間違った認識と正しいストレッチを行う上でのポイント
https://konno-chiryo.com/stretch-point/

定期的にトレーニングを積んでいる方は、定期的なケアも重要です。
症状が出てから治療院に行くのではなく、理想は症状が出ないために定期的に治療院へ行くことです。
トレーニングとケアはセットだということを理解しましょう。

日常生活における注意点

日常生活の中でも、以下を注意することで予防に繋げることができます。

革靴はNG

革靴というのは足底や足への負担が大きいです。
靴の構造にクッション性が低いですし、靴自体も重いので負担が増します。
通学・通勤に革靴を履いている方はなるべくランニングシューズを履くようにしましょう。
会社の規則が厳しいようなら、出勤後に社内で革靴に履き替えたり、せめてクッション性の高いインソールを買って革靴に入れてください。

アーチを強引に上げるインソールはNG

土踏まずのアーチはクッションの役割を担っています。
アーチが下がっているということはそれだけで足底への負担に繋がります。
よって、それをサポートするために、アーチを強制的に上げておくインソールは数多く販売されています。
しかしながら、そのインソールを敷いて靴を履いてみて、土踏まずや足底のどこかが当たると感じるようなら、そのインソールはやめましょう。
当たった状態で走れば、その刺激だけで炎症に繋がる可能性が高くなり足底筋膜炎を発症してしまいます。
実際に当院の患者さまでそういったケースで発症してしまった方が複数人いらっしゃいます。

アーチを上げるインソールではなく、筋力向上とケアをして自然とアーチが上がるよう努力しましょう。

足裏への強すぎるマッサージはNG

こちらも実際に当院の患者さまの体験談です。
足裏への強すぎるマッサージや、木製のマッサージ用の器具を使っての足裏への刺激というのはやめましょう。

インソール同様、既に硬くなっている筋肉に対して無理に刺激を入れると、それだけで筋繊維を破壊して炎症に繋がるリスクがあります。
ご自身が「痛い」と感じるマッサージや施術は受けないようにしてください。

こちらも「強いマッサージはデメリットだらけ。体がいたんでいくだけのマッサージを受けてませんか?」という記事を書いていますので、あわせて読んでみてください。

強いマッサージはデメリットだらけ。体がいたんでいくだけのマッサージを受けてませんか?
https://konno-chiryo.com/tsuyoimassage/

定期的なトレーニング

多くの患者さまに共通して言えるのは、ハムの筋肉が足りない方が多いです。
そのため、定期的な運動やトレーニングを生活の中に取り入れましょう。

ただ筋肉に関しては個人差がありますので、一概にどこを鍛えるべきというのは言えません。
そのため、治療院に行って施術者にどこの筋肉が足りないのかを聞いて、そこを重点的に鍛えるようにしましょう。

炎症は長引くので、事前の予防が大事

足底筋膜炎になってしまうと、改善するまでに数ヶ月から1~2年必要だったりする場合もあります。

身体が充分に回復しきらないままトレーニングをする、オーバートレーニングをしてしまうということは何かしらの症状が出ることに繋がります。
定期的にトレーニングをしている人は定期的なケアを受けて症状を出さないということが大切です。

著者プロフィール

今野 弘章
今野 弘章
自身の元競泳選手の経験や、「アスリートは体の痛いところを治せば良いわけではない」という考えから、

競技中(日常生活)の痛みの改善
「この部位に力を入れられない」といった身体の悩みの改善
通常時、痛み時のトレーニング
日頃のメンテナンス

など、より良いパフォーマンスにつなげるための、治療、指導を行っております。

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