アスリートも気をつけるべき痛風の原因と対策

高輪で鍼灸治療院を開いている今野です。

自身が元競泳選手ということもあり、アスリート専門の治療院となっております。

一般的な治療院との違いは、痛みを治すことや硬い部位を緩めるだけではなく、「特定の部位に力が入っていない」ことや「可動域が狭い」あるいは「自覚していない骨格の歪みや筋力不足」などを改善してパフォーマンスアップに繋げることをゴールにしている点です。

今野鍼灸治療院では治療のその先を常にイメージしながら、アスリートの自己実現をサポートしていきます。

先日、患者さまから「痛風と診断を受けた。レバーや魚卵、ビールなどは摂っていないのになぜ?」とご質問を受けました。

痛風の原因は確かにプリン体で、それを多く含む食材を食べれば痛風になりやすいのですが、原因はそれだけではないので今回は原因について詳しく書いていきます。

※既に痛風の診断を受けている方は主治医の指示に従いましょう。
※本記事は管理栄養士の監修の元書いております。

痛風となる原因

痛風の原因に関しては、多くの方が「プリン体が多く含まれる食材を食べると痛風になる」と考えられているかと思います。

プリン体は起因の一つではありますが、直接的な原因は尿酸値の上昇となります。
また、直接的な原因以外にも、あまり知られていない原因もあります。

直接的な原因は尿酸値の上昇

プリン体は肝臓で尿酸に分解され、尿と一緒に体外へ排出されます。
排出される量よりも蓄積される量が多くなれば尿酸が溜まり、痛風を発症することに繋がります。

また、プリン体は体内でも産生されます。
古い細胞が新陳代謝により新しい細胞になる時に体内でもプリン体は作られます。
食事で摂るプリン体の量が全体の2〜3割、体内での産生が7〜8割と言われています。

そのため、「プリン体の産生+摂取」>「尿酸の排泄」が続くようになると尿酸が体内に溜まるようになり、痛風の発症へと繋がります。

プリン体に対する誤解

  • プリン体を多く含まれる食材を食べると痛風になる。
  • ビールや魚卵に多く含まれている。
  • プリン体が多く含まれている食材を摂らなければ痛風にはならない。

こういった認識を持っている人は少なくないのではないでしょうか。

実際に痛風と診断を受けると「プリン体が多く含まれている食材の一覧表」みたいなものを医師から渡されるそうです。
これらは間違いではありませんが、充分な認識とも言えません。

プリン体は様々な食材に含まれています。
代表例であるレバーの数値を挙げてみます。

  • 豚肉 284.8mg
  • 牛肉 219.8mg
  • 鶏肉 312.2mg

とあります。
(100gあたりの含有量)

それに対して身近で意外にプリン体を含んでいる食材は例えば以下のようなものが挙げられます。

  • 白米 25.9mg
  • ブロッコリー 70.0mg
  • 納豆 113.9mg
  • ツナの缶詰 116.9mg

(100gあたりの含有量)

参考サイト 公益財団法人 痛風・尿酸財団 「食品中のプリン体含有量」
https://www.tufu.or.jp/pdf/purine_food.pdf

この一覧表を見てよく食べる物や意外にプリン体を多く含んでいる食材も少なくないのではないでしょうか。
つまり、よく言われるプリン体が多く含まれている食材を食べなくても、普段の食事である程度はプリン体を摂取しているのです。

体内で作られるプリン体の量の方が全体に対する割合が多いと書きましたが、食事からの供給を減らす事で発症リスクを抑える事や症状を緩和させることに寄与します。

あまり知られていない原因

腎臓の機能低下

上で記載させて頂きましたように、プリン体は肝臓で尿酸に分解され、尿と一緒に体外へ排出されます。
そのため、尿の排出で重要な役を担っているのが腎臓です。
もし腎臓の機能が低下していたら尿酸を排出する能力も落ちている可能性が高いという事になるので、その場合はその分体内に溜まりやすくなってしまいます。

特にアスリートは激しい運動により腎臓にも負担をかけている事が多いため、注意が必要です。

遺伝、体質

痛風そのものは遺伝されませんが、痛風になりやすい遺伝子は遺伝されると言われています。
また、尿酸が溜まりやすい体質という方もいらっしゃるようです。
家族に痛風の方がいた場合、同じ食生活を送っている他の家族も痛風になりやすい環境にあるとも言えますので、その場合は一度ご自身の食生活を見直してみることをお勧めいたします。

アルコール

アルコールはその分解過程でプリン体を生成します。
それに加えて特にビールにはプリン体も含まれていますので、さらに尿酸値が上がります。

脱水

尿酸は汗としては排出されず、尿として排出されます。よって、脱水が進んで尿の量が減るとその分尿酸が排出される量も減ってしまいます。
また、脱水が進んでいるということは血液が濃くなっているので、尿酸が結晶化しやすくなり、痛風発作が起きやすくなります。

高負荷な運動

特に激しい無酸素運動はプリン体の産生量が増えます。
プリン体はエネルギー代謝に必要なATP(アデノシン三リン酸)の構成物質なので、エネルギー物質の分解、再合成の過程でプリン体が産生されるといった仕組みです。
特に激しい無酸素運動はATPの消費量も多くなるためプリン体の生成量も多くなります。

痛風への対策

上で記載させて頂いた通り、痛風の直接的な原因は尿酸値の上昇となります。
そして、尿酸値が上昇するにあたり、様々な要因があります。
そのため、日頃の生活の中で以下のような注意が必要です。

食事量

食事量全体的な食事量をコントロールし、食べ過ぎに注意しましょう。
食べる量が増えれば知らずしらずのうちにプリン体を摂取していることに繋がりかねません。

ストレス

ストレスは内臓の機能低下に繋がります。
ただでさえトレーニングにより腎臓に負担をかけている可能性があるので、それ以上内臓に負担をかけることは極力しないよう減らせるストレスは減らすようにしましょう。

水分

原因で書いた脱水の反対です。
なるべく水分を摂り、尿の量を増やして尿酸を排泄しましょう。

軽い運動

痛風患者には肥満体型の人が多いともいわれているようです。
定期的なウォーキングや水泳などの軽い有酸素運動を中心に体重のコントロールを心がけるようにしましょう。
そして運動中、運動後には必ず水分補給をするようにしてください。

実はアスリートにとって身近に潜んでいる痛風

痛風の症状は様々な部位に出ますが、特に足の親指の付け根や足の甲、足首付近に痛みとして出る事が多くなります。
例えば靴を履くスポーツを行っていた場合は痛みの度合い次第では靴を履くことさえままならない程痛むそうです。
症状が軽かったとしても靴が当たるだけで痛いということはそれだけで集中力の低下に繋がってしまいます。

また、症状が出てしまったら薬物療法や食生活の見直しに加えて過度な運動や負荷の強い運動を抑える必要が出てきます。
社会人アスリートの中には30〜40代でも負荷の強い運動を行ってレベルの高い結果を求めている方々もいらっしゃいますので、そういった方々が痛風を発症してしまうと症状が落ち着くまでトレーニングの継続が難しくなります。

そうならない為にも普段から食生活に気を配ること、定期的な健康診断・血液検査が重要です。

血液検査で腎臓の数値が引っかかる方は今日からプリン体の摂取を含めた食生活に気を配ってください。
また、腎臓の機能をこれ以上落とさない為にも運動のし過ぎやストレス、疲れを溜めないことが大事です。

アスリートとしてはエネルギー産生・消費と腎臓の負担というふたつの原因を既に抱えていますので、今何も症状や血液検査の異常がないアスリートも、今後激しいトレーニングを継続していくのであればプリン体と尿酸、腎臓のことを頭の片隅に置き、健康に気をつけながらトレーニングを励んで欲しいです。

著者プロフィール

今野 弘章
今野 弘章
自身の元競泳選手の経験や、「アスリートは体の痛いところを治せば良いわけではない」という考えから、

競技中(日常生活)の痛みの改善
「この部位に力を入れられない」といった身体の悩みの改善
通常時、痛み時のトレーニング
日頃のメンテナンス

など、より良いパフォーマンスにつなげるための、治療、指導を行っております。

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