怪我が重症化しやすいシチュエーションとその対策

高輪で鍼灸治療院を開いている今野です。

自身が元競泳選手ということもあり、アスリート専門の治療院となっております。

一般的な治療院との違いは、痛みを治すことや硬い部位を緩めるだけではなく、「特定の部位に力が入っていない」ことや「可動域が狭い」あるいは「自覚していない骨格の歪みや筋力不足」などを改善してパフォーマンスアップに繋げることをゴールにしている点です。

今野鍼灸治療院では治療のその先を常にイメージしながら、アスリートの自己実現をサポートしていきます。

当院は主にアスリートの患者さまに対して施術することが多く、その中には相当重症になってから来院される患者さまがいらっしゃいます。

重症化してしまうと改善するまでに時間と施術の回数を要してしまいますし、トレーニングの質を下げることや、痛みと戦わなくてはならなくなります。
良いことはひとつもありませんが、患者さまのお話を伺っているとある共通した背景と認識をお持ちなので、今回は重症化しやすい人の特徴と、重症化させないための対策をお伝えしていきます。

怪我が重症化してしまう患者様に共通する背景と認識

怪我が重症化してしまう患者様に共通する背景としては、幼少時や学生時代に特にスポーツを行っていなかった人が、大人になってから何かスポーツを始めたということが多くなっています。

そして、症状が出始めても「そのうち治る」という認識で、セルフケアも施術を受けることもしないでしばらく我慢し続けてしまいます。

この背景と認識が症状と重なると、「これは施術を受けないとだめなパターンだ」ということに気づけないことに繋がります。

小さい頃からスポーツをやっていると、大なり小なり何かしらの症状と付き合い続けているので、

  • これは時間が経てば治る
  • これはセルフケアで大丈夫
  • これは治療院に行かないとダメだ
  • これはまずは整形外科に行かないと

という線引きがある程度できるようになります。

しかし、大人になってからスポーツを始めた方の場合には、この線引きができないで「きっとそのうち治る」と思っていると、徐々に症状が悪化して重症化してしまうことに繋がってしまいます。

重症化させないための工夫

前述したように、

  • 大人になってから何かスポーツを始めた背景
  • きっとそのうち治る認識

が重なってしまうと、重症化に繋がりやすくなってしまいます。

「背景」に関しては、変えることができませんが、以下のような工夫をすることで、認識を変え、重症化を防ぐきっかけを作ることができます。

工夫1:自身のルールを作る

重症化させないためにはご自身のルールを作りましょう。
例えば、以下のようなものです。

  • 自分で決めた期間内(3~7日を推奨)に改善しなかったら施術を受けに行く
  • 今以上に痛くなったら施術を受けに行く
  • 症状が出たらすぐに信頼できる人(チームメイト、コーチ、友人、施術者)に相談する

3~7日を推奨する理由

怪我が自然に改善していくための時間(日にち)に関しては、個人差があります。
しかし、3~7日が経過している場合には、「自然に改善していくことは期待できない」と言って良い期間となります。

そのため、3~7日経過し、

  • 痛みが変わらない
  • 痛みは減少したが、残っている

などの場合には、施術を受けに行くことを推奨しております。

工夫2:他の選手、コーチ、監督など周りの方とのコミュニケーション

2つ目の工夫としては、コーチ、監督など周りの方とのコミュニケーションです。

日頃より、周りの選手やコーチ、監督などと、

  • 自身の身体の状況
  • 怪我や痛みの状況

などの話をし、おかしな点があったら教えてもらえる環境を作るようにしましょう。

他の方からの視点を取り入れることで、「そのうち治る」という認識を改め、重症化を防ぐきっかけになります。

また、逆にコーチやチームメイト、ご家族が、何かしらの異変や痛がっている素振りを見た人を見つけたらすぐにその人に話しかけ、確認し、施術を受けに行くよう促してあげましょう。

特にチーム内に初心者から始めた会員さんがいるようなシチュエーションでは、指導者や経験豊富な会員さんが率先して定期的に声掛けをすべきです。
真面目な方ほど我慢し続けて周りにも隠していたりしますので、周りが声をかけてあげるというのがとても重要です。

工夫3:アスリートの発信を参考にする

3つ目の工夫は、好きなアスリートや応援したいアスリートを見つけて、そのアスリートの発信を全部読むことです。
特にご自身の行っている種目と同じ種目を頑張っているアスリートの方がベターです。

スポーツをやっている以上は、時になにかしらの症状が出てしまうことがあります。
それをアスリートが発信してくれるかどうかはわかりませんが、もし発信してくれたらその症状についての知識が溜まっていきます。

同じ種目のアスリートであれば、同じような症状にご自身が悩まされる可能性も充分にあります。
同じような症状が出てしまった時に同じように対処すればいいので、その分重症化を防げることに繋がります。

重症化を防ぐためには、痛みや怪我に対して不必要な我慢をしない。

スポーツをするということは、楽しく、自分が決めたゴールに向かっていくことです。

どこか身体が痛いのを我慢してトレーニングを続けることは、本来の目的ではないはずです。
そこを我慢しても良いことはひとつもありません。

痛みを抱えたままレースや試合に臨んでも、満足のいく結果には結びつきません。
ご自身の意識、知識、周りのサポートで、是非重症化させずにスポーツを楽しんで欲しいです。

著者プロフィール

今野 弘章
今野 弘章
自身の元競泳選手の経験や、「アスリートは体の痛いところを治せば良いわけではない」という考えから、

競技中(日常生活)の痛みの改善
「この部位に力を入れられない」といった身体の悩みの改善
通常時、痛み時のトレーニング
日頃のメンテナンス

など、より良いパフォーマンスにつなげるための、治療、指導を行っております。

関連記事

  1. アイシングの正しい方法とNGな方法

  2. 成長期におけるスポーツ貧血の原因とその対策

  3. コルセットの正しい利用方法と巻き方

  4. 水泳肩(水泳での肩の痛み)の原因と年代別の未然の対策

  5. セルフケアの限界と治療院で治療を受ける意味

  6. 鵞足炎の原因、治療と改善