高輪で鍼灸治療院を開いている今野です。
自身が元競泳選手ということもあり、アスリート専門の治療院となっております。
一般的な治療院との違いは、痛みを治すことや硬い部位を緩めるだけではなく、「特定の部位に力が入っていない」ことや「可動域が狭い」あるいは「自覚していない骨格の歪みや筋力不足」などを改善してパフォーマンスアップに繋げることをゴールにしている点です。
今野鍼灸治療院では治療のその先を常にイメージしながら、アスリートの自己実現をサポートしていきます。
徐々に秋が深まるに連れ、こういった季節の変わり目に増えるのがぎっくり腰です。
僕も何度もぎっくり腰に悩まされましたので、コルセットには大変お世話になっています。
しかしコルセットについて皆様は正確に理解されているでしょうか。
そこで今回はコルセットについて解説していきたいと思います。
目次
コルセットの役割と使用目的
コルセットの役割とは主に以下のふたつが挙げられます。
- 骨盤部を締めることで腹圧が増し、体幹部の固定力が増す
- 動きを制限することで動きすぎて痛む部位の痛みを減らす
それぞれ詳しく解説していきます。
骨盤部を締めることで腹圧が増し、体幹部の固定力が増す
腰骨(おへその4~5センチ下)を中心にコルセットを巻くことで骨盤部を締めることができます。
この部位を締めることで腹圧(お腹の中の圧力)が増し、身体の内側から外側へ圧がかかることで体幹部の筋肉の働きを代わりにしてくれます。
そうすることで今まで筋肉が働いていた仕事量をその分減らしてくれることになるので、結果として本人の感覚は「楽になる」ということに繋がります。
これは身体を固定するのが楽になる、言い換えれば固定力が増すということになります。
動きを制限することで動きすぎて痛む部位の痛みを減らす
例えば腰痛は動きすぎることで痛みを発生させるケースがあります。
こういったケースの場合は背中や臀部が硬いことであまり動きがなく、その分を腰が代償的に働くことで身体を動かしているから「腰が動きすぎ」ということに繋がります。
骨盤部を締めることで体幹部の動きに制限がかかりますので、それが腰の動きすぎを改善することで腰痛が軽減するという仕組みです。
コルセットの正しい使用例と利用時の注意事項
コルセットを使用する場面としては、
- ぎっくり腰
- 突発的な重作業時
- 高齢者の利用
が挙げられます。
その中でも、ぎっくり腰(急性腰痛)の時はコルセットが必須と言えます。
ぎっくり腰の時は腰回りの筋肉を使ってしまうと激痛が走りますので、コルセットを使うことで以下のふたつの利点があります。
- コルセットを巻くことで腹圧を上げて腰の筋肉の負担を減らす
- そもそもの動きを制限することでなるべく腰を使わないようにする
ぎっくり腰は、一度でもなったことのある方は適切に肉体改造をしていない限り再発する可能性が高いです。
また、普段から腰痛に悩まされている方は既に腰の筋肉が動きすぎていて疲労が溜まっている可能性が高いです。
こういった方々が普段はやらないような、慣れていない重作業を行うとぎっくり腰になりやすいので、そういった時はコルセットを巻いて腰をサポートしてあげることが重要です。
ご高齢の方は筋力が低下していくと背中が丸まっていく方がいらっしゃいます(円背姿勢)。
理想は筋トレをして筋力を増強し姿勢を改善していくことですが、現実的にはご本人の気力や体力によりなかなか難しいことが多いです。
そこで、コルセットで体幹部を締めてあげて、それ以上姿勢が丸くなるのを防ぐというのは対策のひとつとして良いと思います。
但し、コルセットだけで円背姿勢の悪化を完全に防ぐこともまた現実的には厳しいので、可能な限り筋力トレーニングや運動療法を継続していくことも非常に大切です。
コルセットを利用する際の注意事項
何より注意したいのは、コルセットに頼ることです。
上記に「筋肉の代わりに」と書きましたが、それはつまり筋肉はその分サボってしまう可能性がある、ということです。
筋肉がサボるということは、サボっている筋肉は使われずどんどん衰えていくということです。
何年間という長期間コルセットに頼るということは、その分筋肉が落ちていると思ってください。
例えば普段から毎日のように重作業をしているような方はコルセットに頼るべきではありません。
中~長期的に筋トレをして肉体改造をし、しっかりと体幹部に筋肉をつけたら徐々にコルセットを卒業していけるようにすべきです。
これはなかなか一人では難しいかもしれないので、ジムや治療院、パーソナルトレーナーなど信頼できるプロを探して一緒に肉体改造をしていってください。
正しい巻き方と注意点
色々なコルセットがありますが、ここではサイドのバンドもあるタイプで巻いていきます。
サイドを止めていない状態で正面で可能な限りきつく巻く。
その後、サイドを左右平等に引っ張ってきつく巻く。
また、腰が痛いからと言って骨盤ではなく腰に巻くというのも誤りです。
腰骨をベルトの中心にあてて骨盤に巻きましょう。
コルセットを巻く際の注意点
可能な限り強く巻きます。
少しでも緩いと腹圧は上がりませんし、動きも制限できませんので巻いている意味がなくなります。
また、巻く際には、「腰骨の高さ」で巻くようにしましょう。
「おへその高さ」で巻くのは誤りです。
コルセットはあくまでもサポートするアイテム
コルセットは何年間も日常的に使うアイテムではありません。
ぎっくり腰や不定期の単発的な重作業を行う時のみ、という限定的なアイテムです。
コルセットにもメリットとデメリットがあります。
是非とも頼りすぎることなく、適切な使い方をしていってください。
著者プロフィール
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自身の元競泳選手の経験や、「アスリートは体の痛いところを治せば良いわけではない」という考えから、
競技中(日常生活)の痛みの改善
「この部位に力を入れられない」といった身体の悩みの改善
通常時、痛み時のトレーニング
日頃のメンテナンス
など、より良いパフォーマンスにつなげるための、治療、指導を行っております。
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