低周波治療器の適切な付き合い方

高輪で鍼灸治療院を開いている今野です。

自身が元競泳選手ということもあり、アスリート専門の治療院となっております。

一般的な治療院との違いは、痛みを治すことや硬い部位を緩めるだけではなく、「特定の部位に力が入っていない」ことや「可動域が狭い」あるいは「自覚していない骨格の歪みや筋力不足」などを改善してパフォーマンスアップに繋げることをゴールにしている点です。

今野鍼灸治療院では治療のその先を常にイメージしながら、アスリートの自己実現をサポートしていきます。

ここ数年でご自宅で簡単に使えるマッサージガンや低周波治療器を多く見るようになりました。しかしながら当院に通って下さっている患者さまと低周波治療器について話すと、適切に扱えていない方が多いです。

そこで今回は、低周波治療器について正しく理解し、適切に使えるよう注意点も含めて詳しく解説をしていきます。

マッサージガンや低周波治療器のメリット

メリットとしてはご自宅で気軽に、何かをしながら使えることです。
最近では在宅勤務も増えましたので、デスクワークをしながら使っている方もいらっしゃいます。

また、安価なのも利点です。
相場は数万円程度のようですが、1回5000円のマッサージやリラクゼーションを4回も受ければ元は取れる計算です。
(施術は人が行うものなので、質に差があるから一概には言えませんが、単純に金額だけを比較した時の話)

マッサージガンや低周波治療器の効率的な使い方

マッサージガンや低周波治療器は安価に、そして自宅でも利用できます。
しかし、正しく利用しなければ、効果は非常に薄くなってしまいます。

また、あくまでもセルフケアの範疇です。
そのため、スポーツを長期的に楽しむためには、身体の専門家である施術者の施術とセルフケアの両方をうまく取り入れていく必要があります。

そのため、以下の点を把握した上で、効率よく利用してください。

機能・モードを正しく理解すること

物を使う時は正しく使うことが求められます。
電子レンジに備わっているグリルとオーブンは似ていますが、調理方法が異なります。
同じように、低周波治療器にもモードが複数種類ある機器がありますので、まずはどのモードをどのような目的で使えばいいのかを理解しましょう。
なお、ここでは最近よく見る低周波モードとマイクロカレントモードをご説明いたします。

低周波モード

電流を流して筋肉を動かし、血行を良くすることが目的です。
イメージしやすいのは、マッサージや指圧のようなものを機械的に行っているモードです。
症状としては、スポーツ選手で言えば「筋肉疲労」、一般の方で言うと「首コリ、肩コリ」などが挙げられます。

マイクロカレント

微弱な電流を流し、痛みを改善するモードです。

体質によっては皮膚に多少ピリピリと感じる方もいらっしゃいますが、基本的には刺激としての実感は何もありません。
関節、腱、筋肉の痛みに対して行ってください。
例えば捻挫をした時、痛い部位に貼っておくと痛みが引きやすいことが期待できます。
骨折のような骨の症状には効果はありません。

専門家の施術とセルフケアの両方を取り入れる

今どこかが痛いのであれば、まずは治療院で施術を受けることをおすすめします。
痛みの原因がわかっていないのに「なんとなく」で低周波とマイクロカレントを活用しても、効率的とはいえません。
そのままあまり効果がない状態で、且つ痛みを我慢しながらトレーニングをし続けても悪化するリスクもあります。
まずは施術を受けて、なぜ痛いのか、どこが原因で痛いのかを施術者に聞きましょう。
ご自身だけでその痛みがどこからきているのかを見つけるのは難しいです。

1度の施術で痛みが取れればそれが一番良いですが、時に再発することもあります。
再発してしまった時に、その日のうちにセルフケアとして低周波とマイクロカレントを使い始めれば、重症化することを防ぐことに繋がります。
もしくは、1度の施術で取り切れなかった場合は次回の施術までの間に低周波とマイクロカレントを活用しておけば、施術の回数を減らしたり、施術までの期間を長く設けることで出費や時間をかけなくて済みます。

マッサージガンや低周波治療器の注意点

利用をする際には、以下を考慮の上で利用するようにしてください。

期待のし過ぎは禁物

まず何よりも過剰な期待はしないようにしましょう。
もちろん運動量とその質にもよりますが、これを使っていればセルフケアだけで完璧というわけにはいきません。

疲労

疲労はあくまでも疲労であって、少しでも痛みが出たらそれは疲労のレベルを超えています。
痛みが出なかったとしても、疲労も溜まりに溜まっていれば低周波だけでは賄いきれません。
例えば試合やレース直後の疲労を低周波だけで改善させるのは現実的ではありません。

痛みのメカニズムの違い

上記に「痛みに対して効果がある」と書きましたが、例えば捻挫と慢性腰痛の痛みが発生するメカニズムは全く異なります。

捻挫をしてしまったのならその自覚もあることでしょうから、施術者ではなくても実際に痛みを感じる部位にマイクロカレントをかければ大丈夫です。
しかし、慢性腰痛の場合、腰が痛いからと言って腰にマイクロカレントをかけても意味はありません。
かと言って、低周波を腰にかけてもさほど効果は出ません。

なぜなら、腰が痛くなっている原因は腰にあるとは限らないので、原因となっている筋肉に低周波をかける必要があります。
ご自身でその原因となっている筋肉を見つけられるなら低周波をそこに試してみましょう。
見つけられない場合は施術者に聞くのが早いですし、確実です。

セルフケアはあくまでもセルフケア

ストレッチ、マッサージガン、フォームローラー、低周波治療器、これらは全てセルフケアの範疇です。
これらを使っても改善しないようなしつこい痛みや強い痛みがある時には迷わず治療院に行き、身体の専門家である施術者から施術を受けるようにしましょう。

軽症の痛みならセルフケアで改善する場合もあります。

しかしながら、多くの人が勘違いされていますが中程度から重症、日常生活に支障が出るレベルやトレーニングを行えないレベルの症状をセルフケアで改善させるのは無理なので、信頼のおける治療院に任せるべきです。

著者プロフィール

今野 弘章
今野 弘章
自身の元競泳選手の経験や、「アスリートは体の痛いところを治せば良いわけではない」という考えから、

競技中(日常生活)の痛みの改善
「この部位に力を入れられない」といった身体の悩みの改善
通常時、痛み時のトレーニング
日頃のメンテナンス

など、より良いパフォーマンスにつなげるための、治療、指導を行っております。