痛い箇所のマッサージには意味がない。痛みの改善に必要なマッサージのポイント

高輪で鍼灸治療院を開いている今野です。

自身が元競泳選手ということもあり、アスリート専門の治療院となっております。

一般的な治療院との違いは、痛みを治すことや硬い部位を緩めるだけではなく、「特定の部位に力が入っていない」ことや「可動域が狭い」あるいは「自覚していない骨格の歪みや筋力不足」などを改善してパフォーマンスアップに繋げることをゴールにしている点です。

今野鍼灸治療院では治療のその先を常にイメージしながら、アスリートの自己実現をサポートしていきます。

「首コリ、肩コリ、腰痛など、体に痛みを感じマッサージに行ったものの、痛みは改善せずに、むしろ痛くなった。」
そんな経験がある方もいらっしゃるかと思います。

これは、痛みがある時に痛いところをマッサージをしたから”こそ”起こっている事なのです。

そこで、今回は

  • なぜ痛みが改善しないのか?
  • 痛みがある時に痛いところをマッサージしても改善しない理由
  • 痛い部位をマッサージするリスク
  • 痛みを改善していくためにはどの様にしたらよいか?

をご紹介させていただきます。

痛みの原因に対してマッサージをしなければ効果がない

マッサージを受けたことのある人は多いと思いますが、どういう時に受けますか?

  • 疲れている時?
  • 寝たい時?
  • 痛みがある時?

また、どんなマッサージを受けたことがありますか?

  • さするような?
  • ゴリゴリ押されて痛いマッサージ?
  • 痛いところを押される?

疲れている時や寝たい時に気持ちのいいマッサージを受けるのは有りだと僕は思っています。

それは、整骨院でもリラクゼーション店でも、マッサージによる効果は「リラクゼーション」です。
しかし、言い方を変えれば「リラクゼーション止まり」になってしまいます。

そのため、痛みがある場合は同じ施術では症状はなかなか改善しません。
それどころか、かえって悪化する可能性もあります。

痛みがある時に痛いところをマッサージしても改善しません

「痛みがある時に痛いところをマッサージしても改善しません」

これは、お風呂にお湯をためたい時に、栓をしないでお湯を出して「あれ〜たまらないなぁ…」と言っているのと同じです。
治らないからと言って「もっと強く!」とマッサージを要求することは「栓をしないまま出すお湯の量を増やす」ということです。

これが同じように体にも起きています。
多くの場合、痛みのある箇所とその原因は別々の部位になります。

「肩が痛い、凝っている→肩をマッサージ」ではなく、「肩が痛い→その原因を探してそこをマッサージ」が正解です。

しかし、今まで施術させて頂いた方々から色々な話を聞いてきましたが、まだまだ多くの施術が痛いところをマッサージしているようです。

その主な理由としては、以下の3つが上げられます。

  • その施術者は原因が他にあることを知らない。肩こりの原因、腰痛の原因は肩や腰にあると信じている。
  • 一応、原因が他にある事は知っているけど、患者様がマッサージして欲しいところをマッサージしないと来てくれなくなるんじゃないか、と心配。
  • 原因が他にあるだろうけど、どこだかはハッキリとわからないのでなんとなく全体的にマッサージをしてしまっている。

僕自身も働き始めは痛いところにこそ原因があると信じ込んでいました。
僕も勿論肩こりは大なり小なりありますし、その時に肩をマッサージされれば気持ちいいと感じ、もっとやって欲しいと感情的には思ってしまいます。

しかし、症状と原因の関係性は全く別物です。

痛い部位をマッサージするリスク

痛みのある部位は軽い炎症が起きている場合があります。

炎症箇所はマッサージや鍼灸治療は施術してはいけません。
これは初歩的な知識で、専門学校の教科書に載っています。

痛いところに対してマッサージをすると

  • その筋肉は硬いわけではない場合緩み過ぎる
  • 炎症箇所はもっと強い炎症になる

となってしまいます。

上記2つを、具体的な例を出しながら、詳細にご紹介させていただきます。

例:その筋肉は硬いわけではない場合、緩み過ぎる

「その筋肉は硬いわけではない場合、緩み過ぎる」
これは腰痛がいい例です。

腰には様々な筋肉が走行しています。
その中でも1番太い脊柱起立筋(正確には脊柱起立筋群といい、複数の筋肉の集合体)というのはある程度の緊張が必要な筋肉です。
なぜなら、立ち上がった時に重力に対して自然と力が入ってないと立っていられないからです。
(こういった筋肉の事を、抗重力筋といい、腰以外にも存在しています。)

しかし、痛みがあるからといって、マッサージをしてしまうと、「緩み過ぎて腰が立たない」という体になってしまいます。

このような現象は中年層の腰痛持ちの男性によく見られます。

この背景には、施術者側としては「腰痛の原因がどこにあるのか理解していない」という事実があります。
また、患者様側も「痛いところを揉んでほしい」という感情が少なからず存在しています。

マッサージをよく受ける方ほどそういった感情をお持ちであるように見受けられます。

例:炎症箇所はもっと強い炎症になる

炎症の例で多いのは、ギックリ腰です。

「ギックリ腰になった時に普段通っているリラクゼーション店に行って腰をマッサージしてもらったら余計に痛くなった」
という話を聞いたことがあります。

これは、よく焦げ付くフライパンで油をしかずに焼く料理をして、「あ~焦げちゃった!」と言っているようなものです。

ギックリ腰に関しては

  • 腰回りの強い筋肉の疲労だけでなく、全身の筋肉の疲労
  • 下半身の冷え。体が冷えてる、血流が悪い、体が硬い、硬い状態など。
  • 上下左右前後の筋肉が硬い

など、様々な原因が存在し、キッカケがあればギックリ腰になります。

例えば、上下の筋肉が硬い場合などを例に原因を深堀りしていくと、

  1. 臀部(尻の部分)の筋肉が硬い
  2. その分腰の筋肉が代償的に働かなければならない
  3. だから余計に筋肉が疲労する

といった形になります。

この状態で、痛い腰をマッサージしても効果が無いだけではなく、間違いなく悪化します。

その結果、

  • かろうじて歩けていたのが痛みで歩けなくなる
  • 起き上がれない
  • 治りにくくなり、倍以上の日数がかかる

といった状況になってしまう事もあります。

「痛い場所をマッサージ」という認識を改めましょう

首コリ、肩コリ、腰痛、全ての症状には原因があります。

その原因を特定して攻めないから症状が変わらない。
変わらないから「マッサージなんて効果がない」「どうせすぐ凝るんでしょ」と思ってしまう方が多くいらっしゃいます。

しかし、そうではないんです。
マッサージは「闇雲に全身ほぐせばいい」というわけではありません。

そのため、まずは

  • 痛い部位をマッサージすれば良いというわけではない
  • 原因を特定して、その原因をマッサージしなければ改善しない。

という認識を持つところから始めましょう。

その上で、

「腰が痛いので、腰をマッサージして下さい。」

ではなく、症状や痛みが出る動作をしっかりと先生に伝え、適切な治療を行えるようにしましょう。
(先入観は適切な治療の妨げになってしまいます。塾に行っても、指導方法を決めるのは先生ですよね?)

治療院に関しても、

  • 話をちゃんと聞く
  • 動きの検査をする
  • 体を評価して原因を特定する
  • その原因をマッサージする

というお店にいくようにしましょう。

そして、痛みがある場合は痛みに対しての施術。
リラクゼーションがいい時はリラクゼーションの施術。

それらは別物なんだと理解して、ご自身の体の状況によって使い分けていきましょう。

著者プロフィール

今野 弘章
今野 弘章
自身の元競泳選手の経験や、「アスリートは体の痛いところを治せば良いわけではない」という考えから、

競技中(日常生活)の痛みの改善
「この部位に力を入れられない」といった身体の悩みの改善
通常時、痛み時のトレーニング
日頃のメンテナンス

など、より良いパフォーマンスにつなげるための、治療、指導を行っております。

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