日本のアスリート業界というのは「アスリートは誰だって故障と付き合いながら競技生活を送る」というよくわからない考えが浸透してしまっています。
それは選手も指導者側も同じような認識です。
実際、非常に多くのプロアマ学生アスリートが軽い症状と隣り合わせで日々トレーニングに打ち込んでおります。
それは引退せざるを得ないほどの大きな怪我や故障と紙一重の生活です。
でも改めて冷静になって考えてみてください。
それって正しいのでしょうか?
それが本当にアスリートの姿なのでしょうか?
なぜそれが常識的な考えになってしまっているのでしょうか?
症状がない状態でトレーニングに打ち込めたらその方が良くないですか?
イチロー選手は45歳でプロ野球選手を引退しました。野球選手生活の中でボールが当たって怪我をする外傷以外はほとんど怪我をしていません。
それはイチロー選手がたまたま頑丈な体だったからでしょうか?
私はそう思っていません。
1番大きいのはウェイトトレーニングをしないで初動負荷トレーニングを行っていたことだと思います。
それはすなわち「筋肉の連動性」です。
体を動かすというのは1つの筋肉だけを動かすなんてことはあり得ず、常に複数の筋肉が連動してます。
逆に1つの筋肉だけを動かすなんてことは不可能に近いです。
人間の体には骨格筋(いわゆる一般的な筋肉です)が約400個あります。
それらが複雑に絡み合って1つの体を構成し、例えばお箸で食べることや歩くことといったほぼ考えなくてもやれるような動作をいくつもの筋肉が連動して動き、非常にスムーズに、繊細に動かしてくれるわけです。
バットを振る動作は腰を回転させるトレーニングだけをすれば強いスイングになるのか?
間違いなくなりません。
そこには全身の捻り動作が入りますので、足先から腕まで全身をみて鍛えないとなりません。
それが「筋肉の連動性」です。
ジョギングもそう、泳ぐのもボールを投げるのもそう、全てのスポーツで「連動性」が求められるのです。
ウェイトトレーニングではその目的とする筋肉単体をパワーアップさせるには非常に効果的なトレーニングです。
しかしながらそれが必ずしも連動性に繋がるわけでもなく、また太くなった筋肉は重く関節の可動域も狭まりますので柔軟性が落ちます。
ウェイトトレーニングをしない方がいいと言ってるのではなく、今あなた自身の体にどんなトレーニングが必要なのか、という問題を常に持っているべきだということです。
イチロー選手にとって長年の間1番必要と感じ、実際により良いパフォーマンスに繋がったのはウェイトトレーニングではなく初動負荷だったということです。
残念ながら当院には初動負荷トレーニングのマシンはありません。
しかし他にも筋肉の連動性を高められるトレーニングはたくさんあります。
例えばバランスボール、バランスディスク、バランスマットを使ってのトレーニングです。
おそらく多くのアスリートが何かしらの症状で悩んでいることと思いますので、まずはその症状をなくすよう施術を続けていきましょう。
例えば最初は治療:トレーニングが9:1かもしれません。
これが徐々に5:5になり、3:7になっていきます。
今抱えている症状がなくなり、普段のトレーニングによって生じる感疲労を取り除いていく治療として3、より良いパフォーマンス、再発しない体づくりとしてのトレーニングが7。
これがアスリートとしての理想であり、当院のコンセプトである「治しながら鍛える」ということです。